人魚は神の血を飲み干す「これは……」
「ここがうちの自慢のワイナリーだよ」
ディルックに連れられ、馬車で移動すること数時間。ほのかなワインの香りとそよ風。あまりにも吹き抜ける風が気持ちよく自然の豊さと立地の良さから常人が近づける場所ではなく、この場所を抑えているラグウィンド家の力を思い知ることになったガイア。だからこそこんなに環境がいい場所に連れて来られたとは思うのだが、葉が揺れるトンネルを抜けた先には赤い煉瓦で造られた立派なワイナリーがあったのである。
「凄い……」
「まだまだここからだよ」
そう言うと樽が洗われている作業場を通り抜けてメインの館へ入る。ディルックの姿を見かけた途端と言わんばかりに使用人達がわらわらと出てきたのである。あまりにも沢山の人が働いているのだとガイアが唖然としていれば、いかにも代表と言わんばかりの妙齢の男性がスッとガイアに挨拶をする。
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