祝音とエンドロール■■
「ふらぺちーの……」
看板を目にした要が、目をキラキラさせて初めて口にする言葉を零す。
スイーツみたいに甘い飲み物だと説明するHiMERUの手は気付けばガッチリと掴まれていて、振りほどくなんて無理だった。
要がリハビリを続けて、病院から外出出来るようになったのはつい先日だ。事の顛末を伝えた異も今では兄弟のどちらにも以前同様に接してきて、要は笑うことが増えた。
こうしてお出掛けする時にHiMERUだけでなく巽が同行することも珍しくないが、 巽に対してつっけんどんな態度を辞められないHiMERUはいつだって居心地が悪い。 お兄ちゃんもぼくみたいに素直になるといいのです、なんて言葉は、この間病院で巽に剥いてもらったりんごを齧る要に言われたものだった。
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