なんだいこれはこの街にある都市伝説。
曰く、とある看板を目にした人は、怪しげな骨董屋にたどり着くという。
その看板には、こう書かれているというのだ。
『珍品、買取〼』
「…本当にあった。」
私の目の前には、確かに看板がある。つまり、都市伝説によればこのあと骨董屋を見つける訳だが…
「でも周りにそれらしいのはないなぁ…。」
今いる場所はなんてことはない住宅地であり、怪しげな骨董屋どころか店のひとつも無い。
(無駄足だったかな)
つい最近に都市伝説の存在を知ってから、骨董屋に行ってみたくて街の中を彷徨いていた私はがくりと肩を落とす。
「もしかしたらと思ったのにな…やっぱりあれは捨てるべき…いやでも…」
「お嬢さん、独り言大きくて面白いね。」
「うぇ!?」
看板の前でブツブツと呟いてたのを聞かれたらしい。驚いて背後を振り返ると、不思議な装いの男性がいた。
パッと見だと大正モダン的な装いなのだが、身につけている物のひとつひとつが別系統の衣装だった。例えるなら、そう
「民族衣装のデパートじゃん」
「んふっ!ふふふ…初対面の人見ていきなり言うのがそれかい?」
それもそうである。完全に失言だった。
「あっやべ…んん、すいませんなんでもないです気にしないでください。」
「今さら無理があるなぁそれは。」
とても失礼なことを言ったが、何やらとてもウケたらしい。さっきから小刻みに肩を揺らしている。
「やっぱり面白いなぁ。君、骨董屋に用事が?」
どうやらこの人も都市伝説を知っているらしい。
「えぇ、まぁそうです。当たり前ですけどありませんでしたが。」
なのでもう帰ります、と口にしようとした時
「じゃあ案内するよ。着いてきて。」
そう言ってさっさと歩き出した。
「はえ?どういう…?」
質問しようにも、男性は思ったより歩くのが早かった。急いで追いつかないと見失いそうだ。
「ちょ、まっ……」
そうして私たちは看板から離れて歩き出したのだった。
ここで飽きた