ゆびさき22.ゆびさき
「ナラ蛍!ナラセノ!待ってた!」
ヴァナラーナに着き夢の中へ入るなり多くのアランナラたちに迎え入れられて蛍だけでなくセノも驚いた。彼らは閉鎖的な空間、夢の世界で過ごしている。普通にこの場所に辿り着いただけではただヒルチャール達がいて、不思議な球体の家々があるだけの場所だ。蛍には慣れた場所で迷いなく進んでいき、ある岩の前へ辿り着く。岩には符文が書かれており僅かに緑色の光を放っている。岩の上には小柄な樹が根を張っている。
アランナラ達にシュリパナと呼ばれているものの前に蛍は立つとどこからともなく古びたライアーと取り出す。思い描くのはアランラナに教えてもらった大夢のメロディーを奏でる。蛍が奏でるメロディーに呼応されたようにシュリパナは光り輝き、セノは思わず蛍の手を掴んで引き寄せる。光から庇うように彼女を自分の身体で守るが、光が消えた後の光景は予想もしないものであった。
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