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    霧(きり)

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    マリオ/マイイカ・crイカ中心
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    霧(きり)

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    キリュウとカイとチギリノヒモの話。テキストも投稿できるということでお試し
    カイが一時期姿を消していたという前提です。出会いの話をまず書こうね

    ##マイイカ

    - チギリノヒモ -
    「ふーん、これがチギリノヒモか」
     ハイカラスクエアのロビーの隣、坂の上に怪しげに佇むクマサン商会。その建物の中にふたりボーイが居た。
    「足ギアってことは、足に付けるんだよな?」
     青インクのボーイ、カイはそう訊きながら顔の前に紐を持ち上げじっと見る。
    「みたいだな。チギリは契りってことだろうけどどういうことなんだろう」
     バイトの報酬である紐を弄びながら黄緑インクのボーイ、キリュウが答える。
    「チギリ?」
    「約束ってこと」
    『それはね、願掛けをして身につけ、そのヒモが自然に切れたら願いが叶うと言われているんだ。とても素敵だろう?』
     そう言ったのは木製の身体を揺らすクマサンである。
    「あんたが言うと途端に不安になるな」
     キリュウはじっとりとした目で言う。
    『どういうことかな』
    「さぁ。それより、そろそろ次のシフト始まるんじゃないですか」
    『……そうだね。二人とも、今回もお疲れ様』
    「どうも」
    「おつかれさまでーす!」
     プツリと音を立て、木製の置物は動きを止めた。ふたりは建物を出て坂を下りる。そのまま、ゆったりとした足取りで駅に歩みを進める。
    「願いか……なぁ、きりゅーなら何を願う?」
     ふと、つぶやくように問いかける。
    「願い?」
     キリュウは俯いて思案する様子を見せる。カイがその顔を見つめていると、ちらりとこちらに視線が移った。
    「どうかした?」
    「お前……」
    「オレ?」
    「……いや、なんでも」
    「なんだよ、気になるなぁ。言ってくれよ」
     キリュウは口を尖らせ言い淀む。それでもカイがせがむと、やっと小さく告げた。
    「お前が、もう離れないようにって。突然、消えないようにって」
    「……」
     カイは目を逸らし、悲痛な面持ちになる。
    「でも」
     ふたりの視線がぶつかる。
    「俺が見失わなければ良いから。だから、願う必要はないって……おいなんて顔してるんだよ」
     そう言われて、バッと顔を手で覆った。
    「平気そうにしやがって」
    「言えって言ったのはそっちだし」
    「っ、ばーか!」
    「なんでだよ!」
     カイは堪らず走り出した。
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