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    のんびりインターネットらくがきマン

    現在メギド72に気を狂わされている
    メギド72のメインストーリーは現在10章3節を配信中!
    1/30まで1〜6章が戦闘なしですぐ読める🎶
    メインストーリーを進めて「特別な仲」を見届けよう!

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    七夕だな〜!の気持ち 雰囲気ポエム サタブフです

    ##特仲

    43,800時間「エウリノーム。ベルの容態はどうだ」
     実り豊かな小麦畑を連想するような黄金色の髪をたたえ、それを引き立てるかのような漆黒に全身を包んだ長身の男が、相対する同じく長身の男に問いかける。
    「どうもこうも。相変わらずだ」
    「そうか」
    「すまないな、あちこち治せそうな者を探してはいるのだが」
    「以前新しく連れてきた医者はどうだった?」
    「まだ成果は出ていない。ベルゼブフは相当特殊な状態のようだ」
    「そうか」
     ふたりの会話は淡々と取り交わされる。お互いに相手がどう答えるのか、はじめから分かり切っていて、ただ形式的に状況確認をしている、そんなやり取りだった。
     統一議会が開催される直前。最後にやってきた八魔星のひとり、サタンは議場に到着するなりエウリノームに尋ねた。もはや毎回恒例となったこの会話は、果たして何度目に交わされたものだろうか。ベルゼブフが時間の多くを眠って過ごすようになってから、どれほど経過しただろうか。彼は今回の議会にも姿を現すことはできなかった。
    「ああ、そうだ。今回も議会が終わったらベルに会わせろよ」
    「……そうだったな。わかった。手配しよう。ただし、ベルゼブフに影響があっては困る。面会は手短にな」
    「わかってる」
     これも議会ごとの恒例となっていた。
     表向き派閥が対立しているサタンは、普段はなるべくベルゼブフに会いに行かないようにしていた。会ったところで会話もできない、触れても何の反応も得られない。かつての愛おしい体温もなく、そこにあるのはベルゼブフの形をした何かにしか感じられない。
     どれほど個が強いとされるサタンでも、そのやるせなさを常に目の当たりにするのは、いささか重荷だった。
     それでも。かつて愛し合い、今でも愛し続けるベルゼブフに会いに行くのは、彼を守ることができなかった、傷ついていることに気づいて助けられなかった自分の無力さを認識し、自身を奮起させるためだ。
     必ず取り戻す。そして二度と手放さない。その誓いを新たにするために、議会ごとにほんの少しの時間だけ逢瀬を重ねていた。

      ***

     統一議会がいつものように滞りなく進み、解散する。
     各々がそれぞれの戦争に身を投じる日常へ戻っていく中、サタンはフライナイツが所有する研究機関へ足を運ぶ。あらかじめエウリノームから話が通されているのか、もはや恒例になっているがゆえにはじめからそのように通達があるのか、サタンはすんなりベルゼブフの元へ案内される。念のため、と武器の携行は認められていない。これも、戦いの意思はないことを示すために予め取り決めていることだ。
     幾重にも扉やカーテンが重なり厳重に管理された奥まった部屋の真ん中に、大きな寝台が設えてある。そこにベルゼブフは眠っていた。見たことがない機器が周囲に備えられており、よくわからないチューブがいくつかベルゼブフにつながれていた。
     前回の議会は何年前だっただろうか。時間の感覚が薄いメギドにはわからなかったが、それでも前回顔を見たときよりも、だいぶ顔色が悪いように感じられた。呼吸をしているのかさえわからない。
    「ちゃんと生きてるんだろうな」
    「はい、もちろんです。生命維持は最優先に行えとのご命令が出ていますから」
    「なら、いい。……少しでいい、ふたりきりにしてくれ」
    「……かしこまりました」
     本当はふたりきりになどするな、とエウリノームから命令は出ているだろうに、ベルゼブフの世話係は所詮組織の末端のメギドだ。サタンが凄めば逆らうことはできない。
     それに、サタンは本当に何もしないのだ。するわけがない。フライナイツが目的があってベルゼブフを目覚めさせようとしているように、いやそれ以上の想いで、ベルゼブフに目を覚ましてほしいと願っているのだから。
     ベルゼブフに相対するサタンの背後で、カーテンが閉められる音がした。気配が遠ざかり、近くにいる生命はサタン自身とベルゼブフだけになった。
    「ベル。…ベル、ベル」
     名前を呼ぶ。何度も繰り返し呼ぶ。答えはない。サタンの目に見えるのは、生きているのか分からないほどのわずかな生命活動を繰り返すだけの生物が目の前に横たわっている、その事実だけだ。
    「オマエが眠ってる間に俺も、ヴィータやヴァイガルドについて色々調べたんだ。もしかしたら今はオマエよりも詳しいこともあるかもな?」
     ククク、と笑うも、その声にはいつものような覇気も力強さも感じられなかった。
    「なあ、知ってるか? ヴァイガルドに伝わる俗話だ。互いに愛し合ってたヴィータだが、愛し合ったがゆえに互いの仕事を放棄してしまい、それが怒りに触れて離れ離れにされちまったらしい。ただし、年に一日だけ、会うことが許されてるんだと。ヴィータはそれをロマンチックだとかなんとか言って有難がってるらしいが。俺としては毎日会える方が絶対にいい」
     自嘲気味に目を細める。
    「まるで俺たちみたいじゃねえか? 別に俺は何か間違ったことをしたとは思ってねぇけどな。オマエも。ただ自分の望みを叶えたかっただけだしよ。それが咎められるっていうなら、社会の仕組みの方が間違ってる。俺はそう思うぜ」
     サタンは寝台の横にひざまずき、動かないベルゼブフの手を握った。
    「まあ、それももうどうでもいい。オマエがいなきゃ、生きてる楽しみが半減するからな」
     祈るように頭を垂れる。
    「必ずオマエを取り戻す。だから、もう少しだけ待っててくれ」
     眠るベルゼブフの額にそっとくちづける。黄金色の髪がその様子を幕のように覆った。
     わずかな静寂の後、ベルゼブフの頬をひと撫でして、サタンはその場を後にした。
     逢瀬の時間はわずかに5分。サタンは知らなかったが、前回の議会開催からちょうど五年が経過していた。
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