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    🎆 _brillante22

    @_brillante22

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    MEMO※付き合ってない
    『初心な振りをして目上な🌸に近付くルッチの話』「🌸さん、どうぞこちらへ」

    自分より若干遅れて待ち合わせ場所に現れた女―そいつに向かって若干離れた場所から声を掛けると、はっと俺に目を合わせこちらに駆け寄ってきた。

    『ごめんなさい、待ったよね…?』
    「いいえ、俺も今来たばかりですから」
    僅かに息を切らしているこいつに適当に返事をすると申し訳なさそうにしながらも『今日は私の買い物に付き合わせてごめんなさい…本当にありがとう…』
    と頭を下げてきた。


    この女は先日の任務で俺の護衛対象だった某名家の一人娘だ。その任務というのも大した物ではなく単に貴族を狙った盗賊による奇襲程度で、素人に毛が生えた様な生温い攻撃はまるで俺の元に届かなかった。任務も無事滞りなく終わり本来であれば、俺は今頃別の任務に向かっているはずだった。…しかし何故今こいつとこんな街にまで出てきているかというと、その任務終了後この女がどうしても礼をさせてくれとせがんできたからだ。無論、任務報酬はこいつの父親から我らが愚図長官に充分支払われている。しかし馬鹿なのかお人好しなのかは知らないがこの女は『それだけじゃ足りません…!命を助けていただいたのですから…!』と譲らなかった。
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