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    8733kawaisugi

    通りすがりの夢女

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    8733kawaisugi

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    初🌋🌼

    人が賑わう街中、私達呪霊は夏油傑と一緒に歩いていた。

    どうやら漏瑚と話をしたいらしい。

    宿儺の器の存在が出た以上、偽物達が滅びる道は長くないと思う。

    しかしその為には戦わなければならない。

    今日はその相談なのだろうか。

    私達は期待と不安がを募らせながら人混みを避ける。


    人の児等は色々な文化を作り、それを楽しんでいる。

    「くだらない」

    そう思っていた。

    でも、その考えは今覆された。

    白い衣装に身を包んだ女性が花に彩られ伴侶であろう男性と並んでいる。

    周りの人の児等はそれを祝福している。

    私は歩みを止め、その光景に釘付けになってしまった。

    女性は透けている白く柔らかな布を被り、指に銀色の指輪を付けていた。

    男性が柔らかな布を上げ、口付けをする。

    人間はこの儀式で愛を誓うのだろうか。

    とても、羨ましいと思った。

    願わくば私の伴侶の漏瑚と.....



    いや、それは無理な事だ。

    彼はきっと、「くだらん」と片ずけるでしょう。

    私達にとって偽物の文化を真似する事は屈辱である。




    しかし、私はそれを悪くないと思ってしまった。

    「花御ーー!どうしたのー?!」

    真人が私を呼ぶ。

    「今行きます」

    その儀式に心を奪われたまま私は先へと急いだ。





    「ねぇ、最近花御の様子おかしくない?」

    真人が切り出した。

    確かに最近のあやつは少し抜けておると思う。

    儂が声を掛けても上の空で聞いていない時が多い。

    それにより陀艮や真人は心配をしている。

    「あやつに何かあったのか?」

    「俺知らないよ!」

    「ぷふぅ!」

    あやつの気に触る様なことはしていないはずだが....

    「わかった!漏瑚の花御への愛情が少ないからだ!!」

    「ぷふぅーー?!」

    「戯けが。儂は常にあやつの事を愛しておる」

    儂は常にあやつの事を考え、愛しておる。

    それ故にその可能性は低い。

    「...あやつがああなったのは何時からだ?」

    まずは原因を探ろう。

    「ぷふ!」

    「この前街へ出掛けた時じゃったか....」

    何か花御の気に触ることでも....

    「あっ」

    真人が何か思い出したようだ。

    「花御がさ、人間の結婚式っていうやつを見てたんだよね」

    「ぷふぷぅ....?」

    「結婚式とはなんだ....」

    儂がそう言うと真人は拾ってきた雑誌の中から1冊を取り出し、あるページを見せる。

    「人間が愛を誓うための儀式らしいよ。こんな風に女は白いドレスっていう衣装を着て指輪を交換して、キスをするって感じの儀式」

    「これを、あやつが?」

    「うん。すっごく見てたんだ」

    「ぷふ....!」

    花御は何かを我慢する節がある。

    もしかすると、花御はこれを羨んでたのかもしれぬ。

    「漏瑚ってさ、人間の真似事は屈辱だと思ってるって花御思って言い出せないんじゃないの?」

    「ぷぅ!!!」

    陀艮が「それだ!!」と言わんばかりに相槌をうつ。

    「それなら、あやつの望みを叶えるだけじゃな」

    「でもさ、漏瑚どうすんの?」

    儂は腰を上げる。

    「儂には儂のやり方がある」

    そう言って儂はその場を後にした。







    「はぁ....」

    月明かりで照らされた花畑。

    私は花畑の中で座っていた。

    何日経っても忘れられないあの儀式。

    私達呪霊には愛が無かった。

    しかし、私と漏瑚は愛を創り上げた。

    儀式が無くとも愛し合っており、彼は私を目一杯愛してくれている。

    これ以上の我儘を言う訳にはいかない。

    私は気持ちを切り替えようと花と戯れる。

    それでも気持ちは晴れなかった。

    「私は愚かですね...」

    「フンっ、そうじゃな。」

    居ないはずの彼の声が後ろから聞こえた。

    そして頭にふわりと何かが被せられる。

    「これは....」

    あの女性が被っていた物とよく似ていた。

    「お主にはこれの方が良く似合ておる」

    この布は黒色をしていた。

    端の方には花が模様されており、綺麗だった。

    「漏瑚...何故....」

    「真人からお主が人間の結婚式とやらを見ていたと聞いてな」

    あぁ...恥ずかしい。

    私は愚かだ。

    漏瑚にこんな事をさせるなんて....

    「漏瑚、無理しなくていいんですよ....?」

    「花御、儂は無理をしておらぬ。愛を誓う儀式であろう?そんなもの必要ないと思っておったが愛しい花御が望んだ事だ。儂は喜んで誓おうぞ。」

    彼はそう言うと花で作った指輪を私の薬指にはめる。

    彼は私の手を握り、こう続けた。

    「儂はお主の願いを叶えたいと思うておる。そして儂はお主を離すつもりは無い。」

    「漏瑚...」

    「お主はどう思うておる?」

    「私は....」

    胸から込み上げてくる感情を零す。

    「漏瑚を離すつもりなんてありません。永遠に、共に生きてくれませんか?」

    「あぁ。誓おう」

    彼はそう言い、布を上げる。

    彼の紅い眼が私を見つめ、頬に手を添えられ

    「愛しておるぞ、花御」

    口付けを交わす。

    口を離し、漏瑚を見つめる。

    漏瑚は少し照れくさそうに目を逸らした。



    パチパチパチパチ


    どこからか聞こえてくる拍手の音。

    「花御!漏瑚!結婚おめでとう!」

    「ぷふぅーー!!!」

    どうやら真人、陀艮に見られていたようだ。

    「貴様ら!!何故ここにおるのだ!!!」

    「え?だって結婚式って祝う人が居ないといけないでしょ?」

    「ぷぅ!」

    漏瑚は真人に説教をし始め、陀艮は私に花冠をのせた。

    私は幸せで満たされた。

    「ふふ、ありがとうございます」

    私は真人を説教している漏瑚を後ろから抱きしめた。

    「愛してますよ、漏瑚」

    「わかっておるわ」

    私の最愛の漏瑚。

    ありがとうございます。
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