昼時の問答 2「行秋って、重雲のこと好きなの?」
先にパンを買い終えたウェンティが欠伸を一つ噛み殺しながら・・・まるで天気でも聞くかのように尋ねてきた。
「好きだよ」
僕も驚くことは無く天気を答えるように・・・当然のように、返事する。ウェンティもその答えに驚くことも無く頷いた。
「だと思った。君たちもう親友って距離じゃないもんね。」
「付き合ってはないよ。・・・それに、重雲は僕のことどう思っているのやら。」
家族だとでも思っていそうだ。充分に有り得る。
「ボクが恋のキューピットになってあげようか?」
「面倒ごとはごめんさ」
この三つ編みを揺らした可愛らしい少年は見た目に反してやることがえげつない。ウェンティに協力を頼むのは最後の最後・・・にしておこう。いつも飄々としているが、恋愛関係のことに関しては驚くほど聡いし。
「ふーん、残念。面白そうなのになぁ。」
「・・・言っとくけど、重雲は」
「まさか!流石に君から重雲を取ったりはしないよ!」
安心してよ、とパンを持ったまま両手をヒラヒラと宙に泳がせる。
「でも、勿体ないなぁ。君から告ってみたら?」
「重雲が想いを自覚してないのに告白しても無駄だろう?・・・大丈夫さ、絶対に振り向かせてみせるから」
「言うねぇ、鈍感天然の人たらしくんの攻略、頑張りたまえ〜」
言われなくとも。と無言で笑って、教室への帰路へとつく。とある昼下がりの別の話。