綺麗な目やなぁ。
ホテルに備え付けられてるソファに座る零に跨がって両頬押さえて覗き込んだ目ん玉は、左右で色が違う。灰色と緑。緑の方は宝石みたいにキラキラしとる。灰色の方は古傷もあって……なんや、かっこえぇって。ちょっとだけ思う。
ごっつ好きな目。俺だけを見とってくれるこの目が、えぇ。
「盧笙よぉ……いつまでおいちゃん、おあずけ食らえば良いんだよ」
触んの無しでこりゃ生殺しだぜ。零が音をあげる。なんや、ちょおっと見とるだけやん。情けないこと言うなや。好きなんや、あんたの目が。……なんて、本人には絶対言うてやらんけど。
「ちょっかいかけてきたら一週間うち出禁すんで」
「……」
視界の端で動いてた太い腕がピタリと止まった。あかんで、零。もうちょい我慢して、俺に見せてや。どうせまたすぐ、一週間くらい会えなくなるんやから。
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