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    さなこ

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    さなこ

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    私の書く傑は基本こんな感じ(???)

    灰七推しの傑くん①連写魔の傑くん

     雲ひとつない青空。クレープなんて甘いだけでしょう、と不満を漏らす後輩を連れて竹下通りを練り歩く。もう一人の素直な後輩は「美味しそうなものがたくさんありますね!」と大興奮だった。隣で呆れた表情をしながらもついてきてくれたのは傑。
    「灰原は甘いのも好きなの?」
    「好きですよ~! 僕嫌いなものないです!」
    「意外だねえ」
     甘いものを疲れている時に摂取したときの、あのじんわりと染み渡る幸福が傑と七海には分からないらしい。もったいない。そもそも頭を使ったら甘いものが有効、というのはなにも俺の持論じゃない。世間一般的に言われていることだ。女であれ男であれ、甘いものは必要だと説かれてるわけだ。
    「オラ先輩の奢りだぞ~。七海なに?」
    「……結構です」
    「おじちゃん、イチゴバナナチョコ二つ。傑と灰原は?」
     悟のを一口、と傑が返す。灰原は遠慮なく好きなメニューを頼んだ。
     晴天の下、ごった返した人並みの中でクレープを齧る。やっぱり美味い。
    「あっ、七海クリーム」
    「ん……」
     食べづらいですこれ……、なんて文句を言いながら七海が眉を顰めた。指先でクリームを取ってあげた灰原が、そのまま自分で舐め取る。
    「……ああいうの、外でやっていいもんなの?」
     あいつらがそういうキャッキャウフフな関係なのは知っている。しかしここは外であって高専ではない。学校でやっても(まぁ)許されることも、人目のつくところでは自重したほうがいいだろう。
     さすがに後輩モンペの傑も怒るかと思い視線をやれば、気怠げに立った姿勢のまま手元だけは素早く動かしていた。カシャカシャカシャカシャと何枚もの写真を撮っている姿は正直親友として見てて辛い。今更無関係を装えない俺は遠い目をしてクレープを食べるしかなかった。
     イチャイチャし始めた後輩、後輩ガチ勢の親友。俺に優しくしてくれるのは生クリームだけらしい。


    ②説明下手な傑くん

    「つーかお前があいつらにハマったきっかけって何よ」
    「ええ……むしろ悟があの二人を見て冷静でいられる理由が私には分からないんだけど……」
     パリッと駄菓子を食べて呆れる。傑の部屋、授業のない午後。
     元々面倒見のいいやつだとは思っていた。非呪術師の家系出身ということで親近感があったのかもしれない。よく二人のことを気にかけていたから、俺も「先輩面してんじゃねえよ」と言い放ったことがあるほど傑は灰原と七海を可愛がった。
    「まずあのツンデレを体現したような七海がさ、灰原にだけは甘いワケ。灰原肯定マンになるし、灰原には褒められたいかわいこちゃんになるワケ」
    「分かんねえよ」
    「灰原も灰原で『人類みんな友達!』みたいな性格してるけど、七海のお世話焼いてる時が一番楽しそうじゃない。尻尾振って隣歩いてさ。可愛いよね」
    「分かんねえって」
    「ワンコ攻めは人気ジャンルだと思うんだけど」
    「ワン……え、なに?」
     ふむ、と顎に手を添えて考え事をする傑にどんどん心配になってくる。最近、硝子とも秘密のやりとりを重ねているから俺だけ除け者にされていて正直ムカつく。たまに紙袋に入った本(にしては薄い)を貸し借りしているのに俺には見せてくれない。パンピーにしか分からないってやつ? バブられるこっちの身にもなれよ。
    「君にはまだ早いんだよ」
    「なんだよソレ! 俺にも理解できるように説明しろっつーの」
    「要は七海が受けの要素しかないという話で」
    「受けってなんだよ」
    「そんなことも分からないのか!? 五条家はいったい何の教育を施してきたんだ!!」
    「一般常識なのかそれ!?」


    ③イベントは一般参加傑くん

     夏油は激怒した。必ず、灰七の薄い本を手に入れなければならぬと決意した。夏油には人気カプが分からぬ。夏油は、ただの灰七の民である。支部を徘徊し、小説やイラストを見て暮らしてきた。けれども作品数については、人一倍に敏感であった。

    「というわけで、今日のイベントで得た本たち。これで全部だよ……少なくない?」
    「灰七ならこれだけあれば十分だろ」
    「十分? 十分って言ったの硝子。これで満足しろって?」
    「数が少ないって言うつもりか? 懸命に活動している人たちに失礼だぞ」
    「分かってるよ! 私は界隈に文句を言っているわけじゃない……世間にもっと、気付いてほしいんだよ!! 彼らの魅力を!!!」
     家入は一度両手を合わせて拝んだ後、薄い本を手に取った。出てくる登場人物は成人していないくせに成人指定されている、素晴らしい作画の漫画であった。一コマ目から「可愛い……」と思わず感想が漏れて夏油と頷き合う。
     夏油は相手左右固定派のオタクだった。しかし家入はわりと左右の位置や相手キャラにこだわらないオタクだった。地雷は特にない。強いて言うなら、五条と夏油のカプは苦手だった。級友の乳繰り合っているシーンなど見たくないからである。
    「夏油、おまえはひとつ勘違いをしている」
    「な、なんだい」
    「二次創作をする者の中には、プロだっているだろう。いわゆる商業誌も手掛けている者だ。しかしほとんどは趣味の範疇で行っている」
    「それが何?」
    「夏油……おまえにもできるんじゃないのか……?」
     その言葉に、夏油は息を呑んだ。今まさに家入が広げている薄い本には、灰原と七海の妙にねちっこいベッドシーンがある。言うのが遅くなって申し訳ないが、この世界の夏油は18歳を無事に迎えている。離反を回避した結果、後輩カプの民になった。
    「そっ……えっ……!? いや、でもっ、私絵描けないし」
    「小説は?」
    「も、もっと無理だよ。可愛いしか書けないよ」
    「とりあえず立ち絵とか顔だけとか、なんか描いてみなよ、ほら」
     適当な紙とペンが渡される。恐る恐るそれを手にし、夏油は頭に後輩二人を思い浮かべた。
    「灰原は髪が黒いね。後ろを刈り上げていて……」
    「ウンウン」
    「眉毛はしっかりめ」
    「いいじゃん」
    「目……目?? 目ってどう……」
    「おいやめろ! 灰原はそんな死んだ目はしてない!!」
    「こんなハイライトのない瞳してない! どうしよう灰原の目が描けないよ……。は、鼻? 鼻はまぁ漫画でよく見るこんな感じで……え、く、口? 口はにっこりめな感じで……」
    「オイ快楽殺人鬼みたいな歪んだ笑みをさせるな! もっと朗らかに!!」
    「ウワァーッ! 解釈違いすぎる!!」
     夏油が音を立てて紙を真っ二つにする。そんな慌ただしいやりとりをする二人を、五条はこっそりと柱の影から見つめた。その後ろに灰原と七海もいる。
    「俺が言うのもアレだけど、オマエらあんなやつの後輩で大丈夫なの?」
    「夏油さんたちに愛されてることには変わりないので!」
    「……実害が……なければ……まぁ」
    「七海すんげー顔」
     小説を書いてみようと新たな道を試みる夏油がまたペンを持つ。そうして「な、なんて書き出せばいいんだ」と固まり、家入とプロットを練り始めた。二人で部屋で致すのはどうだろう。いやいや漫画ならまだしも小説でそれはかなり濃い描写が必要になるんじゃないのか。そもそも最初から成人指定作品ってどうなんだ。じゃ、じゃあ二人が初めてキスをした日のこととか。いつどんな流れでどこでどんな風に? そ、そんな細かい設定分からないよ。
     些か絵を描くよりスタートダッシュを切れていない様子だった。二人で薄い本を広げながらあーだこーだ言うのを、三人は暖かく(?)見守っていた。

    「夏油さん、生き生きしてますね!」
    「うん……まあ……俺としては傑が楽しそうなら……いいんだけど」
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