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    闇の精霊と闇の創作主ロッチェ

    ここになら
    ゾーニング無しの設定
    ぶちこんでも良いんじゃな?
    容赦なく闇を放り込んでやるから
    覚悟しておくれ

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    POIPOI 105

    ゾアうさ 恭理編

    ゾアうさと恭理お兄さん「ぴょぴょ!」
    「わぁ!なになに?…ウサミミの男の子?」
    「ぴょーん!」
    「迷子かな?お母さんとかお父さんは?」
    「ぴょ!」
    「うーん…話が通じてる気がしないなー」
    俺は恭理。大学生。いつも通り帰路を変わりなく歩いていたんだけど、突然目の前に跳んできたウサミミの付いた前髪で顔の隠れた男の子に話し掛け…うーん…絡まれた?んだ。
    「ぴょ!ぴょぴょぴょん!」
    「喋れないのかな…。こんな時期に半袖なんて寒いよ?マフラーだけじゃ駄目。上着貸すよ?」
    「ぴょ!」
    「あ!今のは分かった。いらない、ね。言葉は分かってるみたい」
    変わった男の子。…何故か会った事がある様な気がしたり、この子を尊敬してたりする気持ちが湧いてくる。不思議。こんなにインパクト強いなら絶対に覚えてる筈なのに。
    「俺に何か用…なのかな?」
    「ぴょーん!」
    「更に元気になった。そうなんだ。え?俺の事知ってるの?」
    「ぴょぴょぴょ」
    「悪い顔してる…筈。見えなくても声色違うから分かるよ。…会った事ある?」
    「ぴょー」
    「意地悪してるね?ちょっと待ってね思い出すから」
    俺は腕を組んで目を瞑る。やはり思い当たりはない。だって俺は平凡で何もない穏やかな退屈さえも感じる程の日常しか送っていないんだから。
    「ゴメンね。俺は君の事知らないや」
    「ぴょぴょ」
    「うー…からかわれてる気がする。」
    俺の反応が面白いのか男の子はずっと笑っている。歯がギザギザで兎にしては可愛げがない。本当に変な子。…もしかして兎のヒーローとか流行ってるのかな?マフラーがヒーローっぽいし。疎いからからかわれてたり?うーん。考えれば考える程ドツボに嵌まっていっている気がする。
    「あ、そうそう。俺に用があるんだよね?何?」
    男の子は頷くと俺の手を掴んで走り始めた。
    「ちょ、ちょっと!ねぇ!どこ行くの!?ねぇ!」
    男の子は答える事なく疾走する。かなりの走力で手を放されたらきっと付いていけない。それは嫌だと思って少し強く握り返してされるがままヘタれない様に走る。何回路地を曲がったのか分からないしどれだけ走ったのかも分からない。男の子が立ち止まった時には息が上がってろくに呼吸も出来ず口から鉄の味がした。
    「ハァ…ハァ…ハァ…ゲホッ…ここ…どこ」
    「にひぃ、不思議の国」
    俺は呆然としてしまった。喋れたのかというのと驚きと不思議の国という日常とはかけ離れた単語。訳が分からなかった。何から口にすればいい?取り敢えず落ち着く為に辺りを見渡した。先の見えない真っ暗なトンネルの前。周囲は森に近い林でしんと静まり返っている。
    「はぁ…?」
    言葉を吐き出そうにも溜め息しか出てこない。
    「ぴょぴょんぴょ。恭理は"分からない"世界で生きてるからね。いや、分からせない様にしてるかなぁー。ぴょぴょ」
    「訳が分からない…よ」
    「純粋な君でいてだぴょん」
    再び手を掴まれてトンネルへと連れていかれる。闇。光が飲まれる程の闇しか広がっていなかったけど恐怖は感じなかった。暫く歩くと視界が真っ白になった。まばゆさで目が開けられない。
    「そろそろ着くよん。目を開けてぴょん」
    声の言う通りにするとそこには不思議の国のイメージ通りだけども全てが年季が入ってくすんでいる古寂れた世界に来た。まあ、夢とか言ってないから嘘ではないと思うけど少しガッカリした気分と物寂しさが心を支配した。
    「こんな…あ…えっと…。ここに俺を連れてきて何がしたいの?」
    「話ぴょん。座るといいぴょーん」
    すぐ近くにあったペンキの剥がれたベンチに腰掛ける。座った事で疲労がどっと押し寄せてきた。意識が遠退きそうになった所で男の子が俺の膝に座ってきた。重さで意識が戻る。
    「重い…」
    「しっつれいな男だぴょーん!俺はリンゴ何とか分だぴょん」
    「嘘つき…そんな重さじゃないよ…」
    俺に兄弟はいないから具体的には分からないけどこの年頃の男の子らしいしっかりとした体重が乗っている。疲労と相まって動けない。
    「じゃあ、最初は質問するぴょん。 恭理、蛇は好き?」
    「別に嫌いでも好きでもないけど」
    「そう。ならいいぴょーん。次、昼間眠くない?」
    「ないよ。健康そのもの」
    「ぴょんぴょん。次、鉄の匂いで吐きそうになった事は?」
    「うーん?ないよ。鉄の匂い?どういう?」
    「無垢でいてぴょーん」
    「…何が言いたいの?」
    「さぁてね。深い意味はないぴょん。子供の好奇心だぴょん」
    「…。」
    空気感が変わった気がする。ふわふわした掴みがたい空気からふざけていながらも心臓を掴まれた様な苦しい空気。物理的にも重くて苦しいけどそういうのじゃない。
    「お前と話すのは初めてだけどよく分かったぴょんぴょん」
    「一人で納得しないでよ。説明して」
    「嫌だぴょぴょ」
    「むぅ」
    嘲笑われている。でも、湧いてくるのは怒りではなく悲しみ。何でだろう。
    「君って何なの?」
    「ウサギさんだぴょん」
    「そういうのを聞きたい訳じ…」
    「知ってるぴょーん。だからこそ嘲笑うんだぴょん」
    言葉を遮られる。大きく開かれた口はとても意地悪く。ギザギザの歯は凶悪で食い千切られそうな恐ろしさを感じる。前髪で見えない目は何を考えているのか分からない。脳内に声がする。俺はその声を言葉として吐き出した。
    「『何がしたいのか理解に苦しむね』」
    「深入りしないスタンスでやってるぴょんよ。忘れたぴょんか?悲しいぴょーん」
    「『食えない男だね。ゾア師匠らしきお子様』」
    「抑えるぴょんよー恭理。じゃないと"恭理"と呼べなくなるぴょーん」
    「『意地が悪いね』」
    そこで声が消える。俺が二重になった気がしたけれども頭が痛くてそれどころじゃない。俺は…恭理だよね?何思ってるの?あれ?
    「ぴょんぴょん。大丈夫かぴょん?」
    「頭が痛いけど平気」
    「ふふふん。更に理解が深まったぴょん」
    「また一人で納得してる」
    「チェシャ猫風味のウサギさんだからだぴょん」
    「あー…成る程。言い得て妙かも。そこは納得した。俺はアリスじゃないけど」
    「お前みたいなアリスは入場拒否だぴょん」
    「酷い言い様。何もしてないのに」
    「お前は何もしてないぴょんね。お前は」
    「は?」
    「ぴょーん。ぴょんぴょぴょん」
    「誤魔化さないでよ」
    「そうねー。俺から言えるのは狡猾な蛇だぴょんなーぐらいぴょん」
    「輪をかけて意味が分からないよ」
    「知らなくていいぴょん」
    自然と眉間に皺が寄って男の子を睨んでいた。静かな怒りがふつふつと湧いてくる。
    「ぴょんぴょん。怖いぴょーん。食べないでぴょん」
    「…何だか疲れちゃった。ゴメンね」
    「じゃあ、俺も謝るぴょん。からかい過ぎたぴょんよ。ゴメンぴょ。恭理」
    「はぁ…」
    そこで俺の意識は途絶えた。

    目が覚めると家の近くの公園のベンチで斜陽に照らされていた。男の子はいない。夢だったのかもしれないけども無駄にリアリティがあったし身体が疲れきっている。固いベンチで寝ていたせいで更に身体が痛い。
    「帰ろう。それが最善だよね」
    俺はそう呟いて立ち上がり公園を後にした。
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    闇の精霊と闇の創作主ロッチェ

    DONE祠の話を膨らませただけ
    お姉様、伴侶、私(わたくし)深夜二時。大抵の人々が眠っている時間に電話が掛かってきました。私は事務作業をこなしており、電話対応をしたのはお姉様でした。
    「はいはい、此方レディンメ。うん、はい、把握。うちに任せておいて。うん、キチンと書類書いてもらわないとだから余裕出来たら事務所来てね。あ、家に向かおうか?兎に角、落ち着いてからだね。じゃ」
    お姉様が電話を切る。私(わたくし)はお姉様に微笑みかけて、口が開かれるのを待った。どんなお仕事なのでしょう。
    「羽耶(うや)、こういうのはあんたが適任だ。雑談も交えて業務内容を説明するよ」
    私(わたくし)が適任なお仕事。楽しみですね。
    「最近さ、不届き者が山程いるじゃない。何かの流行りで発生してるらしい不届き者。法律は詳しくないけど礼拝所不敬罪で連れていかれる輩。信仰?元からそんなもんない連中だらけの地域だろってのは無しだ。で、連れてかれた連中は罰金と修繕費払って解放されるんだがその後がおかしくてね。どいつもこいつも『双子を見た!』って言うらしい。現代に相応しくない不気味な双子なんだってさ。『壊した、穢した、侮辱した。死んじゃうね。哀しいね。可哀想だね。』とか言ってひとしきり嘲って消える。馬鹿馬鹿しいと記憶の彼方に追いやるけど深夜に手鞠唄が聞こえてきて朝には静まる。それが一週間位続いてごらんよ。気が狂うだろ?そう、ここんところでニュースになってる自殺の一部はこれ。あとは凄まじい衝撃で圧死した不審死も相次いでるんだって。ろくでもない流行りの元凶は何だったかな。あたし、眼精疲労から解放される為にネット断ちしてるから分かんないや。レイイミナ、何か知ってる?」
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    闇の精霊と闇の創作主ロッチェ

    DONE流行りの祠壊した云々の話
    ミステリアスなおじ様はお好きですか?昔々のお話。この地には天候を操る神様がおったそうな。名前は…何だったかねー。まぁいいや。その神様は村人によくこう話し掛けていたそうな。
    「のう、遊びに付き合ってくれんか。なぁに、手間は取らせんよ。事は単純。儂の立てた枝を夕刻までに折ったら勝ち。な?簡単じゃろ?」
    老若男女問わずそう持ち掛けていたそうな。土地神。しかも、天候を操る神。怒らせて作物が育たず飢饉、年貢を納められずに死罪などという災厄が起きては困ると人々はその妙な遊びに付き合ったそうな。子供は容赦なく枝を折り、村を散歩している神を探し出し、連れてきて勝利宣言をしてやったそうだが大人や頭の回る者はそうはいかない。勝ってしまって機嫌を損ねたらどうしようかと頭を抱えたそうな。当然だね。だが、どんな結果であろうと神は上機嫌。勝ち誇る子供には大袈裟に悔しがって喜ばせてやったり、怯えて枝を折らなかった者にはその反応が愛いくてたまらないと笑ってやったそうな。愉快な神様だね。時が経ち、村は市となった。そして、他所からの人も増えていき、発展していくと人々は神の存在を忘れていった。今でも神社や祠は残っているが所詮は壊したら恐ろしい事が起きるというアニミズム的な観点からの保護対象でしかないのだった。何それ?あー、簡単に言うと神は自然に宿る。八百万の神って考え方。で、それらと交信出来る場所が神社とかって訳だよ。分かった?なら良し。参拝者はいるんじゃないのかな?程度の無人の寂れた神社でさ、本当に地域の人々が最低限綺麗にしてる程度の扱いなんだよね。…ん?実話?そうだけど?神様が人間に馴れ馴れしく話し掛ける訳ないだろ!って怒られてもねー。そういう話だもの。
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