夜空に想う 1匹の竜が、いた。
目の前にいるのは、邪龍と呼ばれている存在。
しかも、自分の大切な仲間を取り込んだ、とんでもない存在。
俺はヴィエラだから、竜騎士の兜を被ることはできないけれど、そのせいで、…いや、そのおかげで、目の前の存在をしっかり捉えることが出来る。
「…ああ、…」
力を与えられたとしても、やはり強大な相手だ。
けれど、負ける気はしなかった。
「返してもらうぞ、そいつは大切な奴だからな」
ぎゅっ、と槍を握りしめてぎりり、と睨みつける。
今は、何も考えず。ただ、目の前の敵を倒すことに集中しなければ。
はぁ、と吐き出した吐息は白く、ただ、指先まで血潮が激っている。
ああ、嫌だな。嫌だけども、やるしかない。俺がやらないと、助からない。
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