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    akaaokiiro2906

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    akaaokiiro2906

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    ニャンリヒ馴れ初め話。ベッター見えない人用です!内容は何も変わってないです(です)

    夜空に想う 1匹の竜が、いた。
    目の前にいるのは、邪龍と呼ばれている存在。
    しかも、自分の大切な仲間を取り込んだ、とんでもない存在。
     俺はヴィエラだから、竜騎士の兜を被ることはできないけれど、そのせいで、…いや、そのおかげで、目の前の存在をしっかり捉えることが出来る。

     「…ああ、…」

     力を与えられたとしても、やはり強大な相手だ。
     けれど、負ける気はしなかった。

     「返してもらうぞ、そいつは大切な奴だからな」

     ぎゅっ、と槍を握りしめてぎりり、と睨みつける。
     今は、何も考えず。ただ、目の前の敵を倒すことに集中しなければ。

     はぁ、と吐き出した吐息は白く、ただ、指先まで血潮が激っている。
     ああ、嫌だな。嫌だけども、やるしかない。俺がやらないと、助からない。

     みんな、助からないなら。
     俺がやるしかない。

     自分の目の前にある命が散っていく様は…もう、見たくない。

     「……」

     それに、何よりも。
     俺のことをここまで信じてくれた人達を裏切ることはできない。

     「これ以上、誰も……手離さないさ。」

     槍をくるりと回して、構える。
     沈黙
     一息置いて、咆哮
     それと同時に地面を蹴って、槍を振り上げた────





     ───「てなこともあったな。」
     オールドシャーレアン。
     北海を臨むこの島で、終末を企む者を倒さんが為に皆で働いた日の夜。
     明日は早速、元凶がいる者の所へ乗り込む。そんな時間帯。
     ベランダから煌々と輝く月をを眺めつつ、リヒトは隣にいる男に目をやる。

     「あの時、もし俺を殺したら…お前はどうしてた?」
     双子を撒いた後、何故だか戻ってきたエスティニアンはふと尋ねてきた。
     今更何を、と思うものの、明日のことを思えば、色んな未練を絶っておきたいのだろうか。
     「…そうだな…まぁ、殺しちまったら仕方ないから、オルシュファンの隣に墓立てるな。」
     「っはは…!思いのほか、お前自身は薄情なんだな。」
    「英雄としての俺だったから……邪竜を殺すんじゃなくて、お前を生かす選択肢をしたんだろうな。」
     そう言った瞬間、近くに立てかけてあったエスティニアンの槍…ニーズヘッグと名を付けられた槍が少し揺れた気がした。

     「それに、…単純に死んで欲しくなかったよ。お前も大切な仲間だからな。」
     「…そうか、」

     相槌一つ。そこからしばらく会話が途切れる。
     うっすらと寒い風がヒュゥ、と音を立てて、リヒトの耳を撫でて行いく。
     肌寒いが、不快ではなかった。

     「…リヒト、」
     「ん?」
     「愛してる」
     「そっか………ん?」

     あれ、俺今告白された…?
     適当に頷いちゃったけど、待って
     ちょっと

     「はぁぁぁっ?!!!」

     待ってくれ。なんだ、今の…突然の告白は?!!
     心の準備ができていないが?

     「な、ななななんで、いきなり!!」
     「いやなに、心残りだったからな。お前に対しての想いが」
     「こ、心残り?」
     「…あまり言いたくはないが、最後かもしれん。まぁ、そうならない為に、全力は尽くすが。」

     顔が赤やら青やらになってる俺に、愉快な奴だ、と言わんばかりの顔をして、そういう…真面目な事を伝えるのだから、タチが悪い。

     「そ、そう、そうか……」
     「で?お前は?」
     「俺?」
     「本当に、俺でいいのか?」
     「……」

     そう言われたら…考えてしまう。
     このまま、俺は…こいつを受け入れても?
     …ああ、でも…

     「お前も、俺でいいのか?」
     「なにが?」
     「質問に質問で返すなよな………俺は、英雄でも何でもない、ただの冒険者だよ。好き勝手争いに突っ込んで行ったり、自由に釣りをしたり…そんな奴だ。…それでも?」
     「そうだな。それは、お互い様だろう。」
     「…ああ、…だから、旅の途中で死んだとしても、許してくれるか?」

     それが、俺と付き合う条件。

     じっ、とシルバーグレーの瞳を覗き込む。
     その翡翠と紫電は、試すように煌めいていた。

     「…それこそ、今更だろう。」
     ぽつり、とエスティニアンは呟いて、リヒトを引き寄せた。

     「なっ…!」
     「生半可な覚悟で、お前に告白なんぞするか。ただでさえお前は……」

     エスティニアンが、何か言っている。
     しかし、リヒトには聞こえなかった。
     煩いくらい、心臓が脈打っている。
     ドクドク、ドクドク
     それが、煩くて。顔も火が出そうな程真っ赤で熱い。

     「お、俺、俺…ッ!」
     「ん?」
     「…お前と、付き合う。付き合って、やるよ」

     顔を見られないように、相手の胸元に顔を埋めたまま、言葉を紡ぐ。
     震えた声だとバレていないか、と内心思いながらも、ぎゅぅ、と相手の服を掴んだ。

     「そうか。……それで充分だ。」

     リヒトの状態に、何も言わずに。ただ、言葉を受け入れて、更に抱きしめる。

     ────リヒトが冷静に戻ってエスティニアンを蹴り飛ばすまでは、暫く静かな時間が続いたのであった。











     あの時、俺は殺される覚悟も死ぬ覚悟もあった。
     けれど、倒されるならば、お前がよかった。
     燃えるような緋色の髪を雪風に靡かせ、翠と紫電を揺らすお前は、俺が生きてきた中で最も美しいと思ってしまったから。

     思えば、あの時から。
     俺は、お前から目を離せなくなっていたのだろう。
     愛しているかどうか、その分類までは分からんが、手放したくない。失いたくない。

     俺の知らないところで死んでくれるな、と想う。









     最初はイケすかない奴。
     知っていくうちに、放っておけなくなって。
     気付けば、お前の話を聞くと一喜一憂していた。
     好きかどうかは分からない。
     ただ、俺に面と向かって、気持ちを伝えてくれた。
     冒険中に言われた、どんな言葉よりも、はっきりと。
     嬉しい、とも、こんな俺に?とも思ってしまったのだから、俺も素直じゃあない。
     …それに、…俺の方が長く生きる種族故に、願う。


     俺が死んでも、悲しまないでくれ、と。
     その時は…旅の果てに死した俺を忘れてくれ、と想う。







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