まいにち無占(じゅうさんにちめ) 包帯を巻かれた脚は、動かしてはいけないと口を酸っぱくするほど言われていた。
ただ、もう痛みはない。
時間と怪我の具合からして、もう完治したと見ていいだろう。
謝七と范八に見付けられては引き止められる。
それは過保護な二人の様子から理解していた。
そうなったら、ノワールに二人を振りほどく自信はない。
力どうこう以前に、二人を攻撃して黙らせる、ということができないと思った。
ノワールはほとんど一か月ぶりにベッドのシーツをめくった。
想像通り分厚く包帯の巻かれた脚は痛みの一つもない。
ほっと一つ息をついて、ノワールはベッドの下に足をつき──そのまま、床に崩れ落ちた。
「え」
足が痛い、とか、そういう問題はなかった。
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