フレッド、過去へ②やる気が出ない。
箱の中を見る。トモシリソウ……次の箱を見る。ニガヨモギ。この瓶は?蜘蛛の目玉の詰め合わせ。ああ、やる気が出ない。
「フレッド、僕たち良いように使われてる」
「ああ、そうだな」
「最近ますます目を付けられてるよな」
「まったくだ」
抱えるほどの大きさの壺を上から覗き込む。うぇ…腫れ草の膿だ。これを絞り出す罰則じゃなくてよかった。よく使う物だから大量にあるし、何より臭い。
羊皮紙の切れ端に材料名を書いて、蓋にべたっと貼り付ける。
「思うに、フレッド。おまえのせいだ」
「……はあ?」
木箱に詰められた小瓶を摘んで振っていると、羊皮紙を鋏で切っていたジョージに聞き捨てならない言葉を吐かれた。
薄い黄色の、粘度のある液体が詰められた箱に材料名を書いた羊皮紙を叩きつける勢いで貼る。ガラス同士がぶつかり合う、甲高く不快な音が、陰気な研究室に響いた。
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