昨夜はお楽しみでしたねどうもおかしい。
予想した軌道よりブレて三叉槍が突き入れられるのは何らかの戦略としよう。だが、手合わせ前から感じていた通り、やはり今日の彼は様子がおかしい。体幹に少しぐらつきが見られる。まるでどこかを庇うような、僅かに違和感を感じる動きだ。
小次郎は三叉槍をいなしつつ、叫ぶ。
「なあ、どこか具合でも悪いのか?調子が出てねえようだが」
それを聞くと、表情に変化は無いものの、攻防をぴたりと止めた彼が小声で呟いた。
「………胸部が気になって集中出来ない」
「……何だって?」
「……胸、が、服に擦れて気が散る…何度も言わせるな」
「胸……?あ、」
昨晩のことだ。
小次郎はこの神の肌の味を知っている。本来抱かれる側の性ではない者の負担は、小次郎には皆目わからない。息遣いや手足の運び方は想定出来ても、痛みはわかってやれない。だからこそ、「そこ」以外でも快楽を拾えるよう努めていた。
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