嘘つきはよくないね「長義、あんたが嫌いだ」
「……は?」
突然告げられた写しの言葉に、長義は不機嫌な顔を隠すことも忘れたまま国広に目を向けた。一体どういうつもりだと言いたげな表情の長義だが、国広は全く気に止めていないようであった。
「あんたが嫌いと言ったんだ。聞こえなかったのか?」
再度同じ言葉を投げかける国広に、長義は思わずため息を吐いて額に手を当てた。
この偽物くんは何も理解していない。
「いや、聞こえていた。聞こえた上での発言だ。急に何を言い出すのかと思えば……エイプリルフールはもう終わっている」
国広が本科を嫌うはずはない。
長義は確信を持ってそう言い切れる自信があった。
なぜなら、二人は世間で言う恋人という扱いであるからだ。
1998