Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    まちこ

    twst/ジャミ監が好き rkrn/di先生が熱い 好き勝手書き散らす場所にします みんな幸せになれ

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 53

    まちこ

    ☆quiet follow

    ただジャミルに爪を切ってもらってる

    「あの、自分で切ります・・・」



     彼女の言葉を無視して、白くて細い指を取り爪切りで伸びた部分を切る。ぱちん、ぱちん、静かな部屋に爪を切る音が響く。自分の肌と並んだ彼女の手は雪のように真っ白に見えた。


     一年との合同の実験の授業中、ペアになって授業を受けていた彼女の手に液体が飛んだ拍子に勢いよく上げられて、指が頬を掠めると爪が引っかかったところに薄いみみず腫れを作った。どうということもないのに傷を作ったということで何度も謝る彼女にそれなら、と提案したのが俺が爪を切るということだった。オンボロ寮に爪切りはないらしいし、どうせ今晩はグリム共々スカラビアに泊まりに来ることになっている。いや、貸していただけるだけで・・・と何度も言っていたけど全て聞こえないふりをした。

     ホリデー中に泊まった部屋でグリムが寝てしまったころ、彼女は俺の部屋にやってきた。支給されたパジャマは大きいようで裾を何度か曲げている。まだしっとりと濡れている髪を耳にかけて、やっぱり貸していただけると・・・と言ってきたがもう一度わざとらしく聞こえないふりをした。



    「爪がきれいに整っていると生活もしやすくなる」

    「自分で切れますので・・・!」

    「・・・また俺の頬に傷を作るのか?」



     俯きがちの顔を覗き込むと、申し訳なさそうにそっぽを向かれた。少し意地悪を言いすぎたか。



    「冗談だよ」



     白い手を持ち上げて唇を寄せる。ぴくりと反応してひっこめようとした彼女の手を離さない。



    「爪切りを貸してしまったら、君に触れる口実がなくなるだろ?」



     顔どころか指の先まで真っ赤にした彼女は近くにあったクッションを俺の顔に押し付けると、消え入りそうな声で「ばか」と呟いた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💕👏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works