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    まちこ

    twst/ジャミ監が好き 幸せになれ

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    まちこ

    PROGRESSジャミルが逆トリップする話/ジャミ監
    監督生が成人してる
    (本当に魔法が使えないとは)



     小さく光を反射したマジカルペンを振ってみるけど自分の髪は一房も持ち上がらない。花を思い浮かべても手元に一輪だって出てきやしない。向こうの世界にいたときに当たり前に感じていた魔力は実は世界の空気自体に含まれていたようで、こっちの世界じゃ微塵も魔力を感じられなかった。

     ピンクのシーツに包まれた枕に顔を埋める。ほのかな花の香りが、制服を着た彼女の後姿を瞼の裏に思い出させる。それは懐かしい光景だった。両隣にはいつも一年生のコンビが陣取っていて、足元にはグレーの猫がリボンを揺らしながら偉そうに歩いている。俺はいつも遠巻きにそれを眺めていた。

     カタカタと響くタイピング音。たまに聞こえる咳払い、遠くからは変な呼びかけをする男の声がする。曰く“サオダケ”というものを移動販売しているときに流れてくるものらしく、昔からあるもの、なんだそうだ。

     少し顔を上げると、紺色のカーディガンを羽織った背中が見えた。瞼の裏に浮かんだ制服を着た背中より大人になった彼女がいる。長く伸びた髪は乱雑にまとめられていて細かい毛束が白いうなじに垂れているのを見るとこっちがくすぐった 1230

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    MOURNINGずっと我慢していた感情が大爆発した監督生と、その監督生にどう接していいか分からなくてやるせないジャミル先輩のジャミ監

    ジャミル先輩好きな人ほど慰めるの下手くそだといいな(願望)
    「魔法も使えないくせによくのうのうと学園で生活できるよな」

    「いろんな寮の寮長ともつながり持ってるらしいじゃん」

    「いいよなあ、俺も異世界から来ました!とかふざけたこと言っていろいろ免除してもらいたいわ」



     聞くつもりなんてないのに、毎日嫌でも聞こえる彼女の悪口。異世界から来たから、魔法が使えないから、女だから、イレギュラーをつまんでは面白おかしくこねくり回して下品に笑う生徒を見るのは不快だった。不快に思うようになったのは、彼女の人となりを知ってしまったからだろう。必死で足掻いてる彼女を見ていたら、少なくとも俺は馬鹿らしく悪口で時間を過ごす気にはなれない。



    「酷いことはやめろよー、こいつ俺たちと違ってこんなちっぽけな魔法さえ使えないんだぜ?」

    「そうだった!あの狸みたいなモンスターより何にも出来ないんだったな!」



     部活終わり、夕飯のメニューを考えていた頭に流れ込んできたのは馬鹿にしたような笑い声だった。会話にもならない暴言の内容ですぐに彼女が絡まれていることに気づいて辺りを見渡すと、大きな木の方に三人分の人影が見える。

     音を立てずにそっと近づいて行けば、は 1467

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    MOURNING元の世界では成人していた監督生と振り回される17歳のジャミル先輩のジャミ監

    振り回されてる自覚もあるし悔しいのにどうしても相手に勝てないジャミル先輩かわいいよねって気持ちだけで書きなぐった。
    机に置いていたヘアオイルを手に取って一息つく。今日も今日とてカリムは他の寮の人間を招くもんだから仕事は忙しかった。だけどいつもよりイライラしなかったのはその中に例の寮の彼女もいたから。



     軽いノックの音。それだけで扉の向こうが寮生やカリムじゃないことが分かる。まあカリムならノックなんてせずに問答無用でずかずか入ってくるから論外か。

     扉を開けるとそこには貸した少しだけ大きいスカラビアの寮服を身に纏った彼女が笑顔で立っていた。



    「こんばんは」

    「どうした、こんな時間に」

    「会いたくなっちゃって」



     いたずらに笑う顔に胸が高鳴る。悔しいがドキドキしていることを誤魔化すために咳ばらいをすると彼女は口元に手を当ててくすくす笑っていた。



    「この年だったら、こんなかわいいこと言っても許されるんですね」

    「・・・笑うな」

    「入れてください、寒いので」



     腕に触れた小さな手は冷たくなっていて俺は慌てて彼女を部屋へと招き入れた。危機感のなさに落ち込みもするけど、喜びの方が勝ってるのがやっぱり悔しい。

     気づいたら好きになっていた彼女は、向こうの世界では成人してい 1504

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    TRAININGくそでか激重感情をこじらせているジャミル先輩と、そんなジャミル先輩のくそでか激重感情には気づかず片思いをしていた監督生のジャミ監

    ある意味両片思い
    彼女のそばにいるといつも気を張って生きている自分が惨めになった。無邪気に誰にでも笑いかける顔に胸はかき乱されて、疑いもせず俺に接する姿に苦しくなる。悔しいことは、辛いことは、苦しいことは、悲しいことは、何も知らないような、純粋な瞳から捕らえるたびに、俺はたまらず死にたくなった。彼女が永遠に気づかないこの気持ちに付ける名前なんて見つけられなくて、ただひたすらもがくしかできない。喉をかきむしって歯を食いしばって、どうしてこんなことになったんだと、泣きたかった。



    「ジャミル先輩、好きです」



     誰もいない図書室、彼女は俺の隣に座って言った。いつもより少しだけ照れくさそうで、顔がわずかに赤く見える。彼女の言葉に嘘偽りないことは誰が見ても分かる表情だ。
     心臓が早鐘を打って気分が悪くなる。喉をかきむしりそうになった手を必死に抑え込んだ。


     彼女が気づいていない俺の気持ちには名前が付けられないのに、俺に向けられた彼女の気持ちには名前が付いている。


     何かに期待をしたような目をふさぎたかった。



    「何を言ってるんだ」



     必死になって流そうと言葉を振り絞るけど、そんな必死な 924

    まちこ

    TRAINING一年生とスカラビアと監督生とお箸の話 ジャミ監

    お箸という存在そのものが無さそうだよね
    「ハシ?」



     食堂での昼食の時間、「食べ物がおいしい世界でよかった」と呟いたことをきっかけに、その場にいたみんなが異世界の食事情に興味を持った。異世界、というよりも日本の食文化しか伝えることができない私は、とりあえず食器から違うことを伝える。スプーンやフォークだって使うけど基本はお箸を使うことを教えれば、みんな首をひねって頭の上にたくさんのハテナを飛ばした。



    「なにそれ、どういうの?」

    「・・・二本の細い棒」

    「棒!?」

    「え、どうやって、食べるの・・・?」

    「挟んで食べるの」

    「は、挟む?」



     みんなの頭の上のハテナの数はどんどん増えて、ついにエースが私を疑い始めた。そんなものでご飯が食べられるわけがないと。



    「本当だよ」

    「じゃあ証拠見せろよ」

    「お箸がないのに使えないでしょ・・・」



     ・・・しょうがない。



    「誰かペン貸して。二本」

    「ん、これでいいか?」



     誰より早く、そして快く差しだしてくれたジャックにお礼を言って私は久しぶりに二本のボールペンを指に挟んだ。懐かしい持ち方に小さく感動をしながらボールペンのペン先をかちかち 2691

    まちこ

    TRAINING失恋した監督生と慰めるジャミル先輩のジャミ監「迷惑だ」

    「え?」

    「大体異世界から来たなんてそんな話、誰が信じると思う?君と一緒にいると嫌気がさす」

    「どう、し」

    「はっきり言わないと分からないの?」



    “君のことが心底嫌いだよ”



     どうして、この間まで一緒に笑ってくれてたのに。楽しかったのに。本当に、好きだったのに。



     空は真っ青に晴れていて、目が眩むほど太陽が眩しい。日差しは優しく降り注いで程よい熱を制服の黒が吸収する。足取り軽く歩いて行く同級生をぼんやり眺めながら、胸はぎゅうぎゅうに締め付けられた。

     彼は優しかった。グリムを探していたらいつの間にか一人になっていた私に声をかけてくれて、探すのを手伝ってくれた。結局グリムはエースとデュースの場所にいて、何をしていたんだと理不尽に怒られるオチが付いてしまったけど、それを一緒に笑って流してくれたことが嬉しかった。錬金術の授業でペアになったときもあたふたしている私を助けてくれたし、向こうの世界の話をすれば興味を持って聞いてくれて、寂しくなって泣いてしまったときはそっと慰めてくれた。帰りたい、とこぼした私に、帰れるよ、一緒に方法を探そう、なんて、言ってくれ 2018

    まちこ

    TRAINING向こうの世界で成人していた監督生と17歳を炸裂させるジャミル先輩のジャミ監気づけばベッドに押し倒されていた。天井を背に私を見下ろす彼のいつもの涼しい表情は影を潜め、苦しそうで泣き出しそうな表情でいっぱいになっている。私に配慮なんてしないで力いっぱい手を握るから骨が軋んで、痛い。こんなに余裕がないジャミル先輩を見るのは初めてだ。


     異世界から来た私が面白かったのか、告白をされた。正直自分よりいくつも年下の学生にそう言われても困るだけで、曖昧に断ろうとしたけど、それは相手にとって許されることじゃなかったようで変な薬を飲まされそうになった所、ジャミル先輩に助けてもらった。相手に見事な右ストレートを食らわせて私の手を引っ張って走って逃げるジャミル先輩はまるでマンガの中の主人公みたいで、とてもかっこよくて、そして面白かった。



    「もっと危機感を持て!」



     普段あまり聞かない声で怒鳴られた。いきなり怒られたことに驚いて瞬きを繰り返せばジャミル先輩は大きくため息をついて首を振る。



    「君は魔法も使えない。それ以前に女だ、男に力で勝てるわけもないだろ」



     正論に口をつぐむ。



    「簡単に付いていくな。それが生徒だとしても」

    「ごめんなさい」

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    まちこ

    MOURNINGただジャミルに爪を切ってもらってる「あの、自分で切ります・・・」



     彼女の言葉を無視して、白くて細い指を取り爪切りで伸びた部分を切る。ぱちん、ぱちん、静かな部屋に爪を切る音が響く。自分の肌と並んだ彼女の手は雪のように真っ白に見えた。


     一年との合同の実験の授業中、ペアになって授業を受けていた彼女の手に液体が飛んだ拍子に勢いよく上げられて、指が頬を掠めると爪が引っかかったところに薄いみみず腫れを作った。どうということもないのに傷を作ったということで何度も謝る彼女にそれなら、と提案したのが俺が爪を切るということだった。オンボロ寮に爪切りはないらしいし、どうせ今晩はグリム共々スカラビアに泊まりに来ることになっている。いや、貸していただけるだけで・・・と何度も言っていたけど全て聞こえないふりをした。

     ホリデー中に泊まった部屋でグリムが寝てしまったころ、彼女は俺の部屋にやってきた。支給されたパジャマは大きいようで裾を何度か曲げている。まだしっとりと濡れている髪を耳にかけて、やっぱり貸していただけると・・・と言ってきたがもう一度わざとらしく聞こえないふりをした。



    「爪がきれいに整っていると生活もしやすくなる」
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    まちこ

    TRAININGジャミルと監督生と異世界カレー「私の世界では固形のルーというものがありまして・・・」



     図書室の本を必死に書き写したというレシピを見ながら恐る恐るスパイスを準備する彼女の背中を眺める。


     「いつもお世話になっているので!」と突然彼女が両手を握って言ってきたかと思えば俺は誰もいない厨房へと強制的に引っ張られた。なんでも俺のためにカレーを作ってくれるらしい。でもその手はたどたどしく不安が募っていく。


     確かにいつも面倒を見ている。だけどそれは嫌々だとかそういうわけではなく、俺がしたいからしているだけなのだが、そんな俺の気持ちに気づいてない彼女は“面倒見がいい先輩”として慕ってくれていた。下心なんてあるわけないと信じ切っているわけだ。
     男子校の中で浮いている華奢な体なんて簡単に捕まえられるのに、そうしないのは理性があるからだと気づいてほしいような、気づいてほしくないような、複雑な気持ちで最近悩まされている。

     スパイスを準備し終わって、鼻をすすりながら玉ねぎの皮をむく彼女はしょぼつく目を擦りたいのに擦れない状態がもどかしいのかその場で足踏みをしている。



    「大丈夫か?」

    「大丈夫です・・・これもジ 2617