春の花※当然のように冥界暮らし
「なあ、地上に花を見に行かないか?」
ハデスに提案され、二つ返事で頷いた。花を見たいという気持ちもあったのだが、誘うハデスの顔にわくわくしている心が滲んでいたので、断ろうだなんて微塵も思いつかなかった。
冥界で過ごしていると季節の変化は乏しいのでよく分からなかったが、いつの間にか春の季節がやって来ていたらしい。地上に出ると青々とした緑や花々の彩りが美しく輝いていた。
しかし、それよりも太陽の眩しさがたまらない。目が眩むほど明るいので、すぐに外へ飛び出す訳には行かなかった。
「ははっ、まだこの差には慣れないか?急がなくても今日一日で花が散り終えることは無いさ、ゆっくりして行こうぜ」
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