抗う者達④ 狂気山脈五千メートル──ショゴス乗越。
雪混じりの爆風が一行の歩みを遮らんばかりに吹き荒れる。
今にも滑落を招きそうな勢いに抗いながら、足下を警戒して前に進むのはなかなかに至難だ。たった一歩を押し出すだけでも大変な労力を要するというのに、霧散していきそうな集中力をかき集めて身の安全を確保しなければならない。余計に体力が削がれ、疲弊していく。
ショゴス乗越が狂気山脈第一の難所と言われていたのはそのためだった。
加えて四人は同時に志海を捜さなければならない。なおさら過酷な状況にさらされていた。
「……」
そんな中、穂高がふいに足を止め、息を呑む。
「梓ちゃん、どうかしたー!?」
えべたんが後ろから風にかき消されないよう大声で話しかけながら、前方を覗き込もうとした。穂高はそれを、腕を水平にして遮る。
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