わたしとあなたのユートピア/レオいず(途中) 俯いていたかおが、自動的にうえへ持ち上がる。レオが目線のその先を追いかけると、レオのほっぺたを両手で掴んだままの泉がいて、そのまま「車出して」と言った。
「いいけど……こんな時間に?」
レオはさらに目を泳がせて、リビングの壁にかかっている時計を確認した。夜の、じきに日付もまわるころ。夕食や入浴も終え、寝る支度が済んだらあとは各々ベッドに入るだけ。そんなときだった。
折りたたんでいた足をのばして、泉のほうに向き直る。次にレオの視界に飛び込んできたのは、泉の手首にかかっているランチトートだった。Knightsのロゴが入っているから、なにかのグッズなんだっけ。思い出せないが、それはなかみを伴って紺色の布がおもたそうにゆれている。
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