【ちょぎにゃん】年の瀬第32回毎月ちょぎにゃん祭り
お題「年の瀬」
「さみい、にゃ」
口が震えてしっかりと発音できていない言葉を呪詛の様に吐けど、隣を歩く刀には露とも響かないらしく南泉の呟きは木枯らしに溶けていった。
師走に入り幾日が過ぎ、気が付けば世の中は年の瀬と呼ばれる時期に入っている。南泉が所属する本丸では先日始まった年末年始恒例である連隊戦でどこかばたついていて、それと並行に大掃除だの年越しの準備だのとどうにも慌ただしい。
南泉も今日は朝早くから打刀の交代枠として幾度も戦場に向かっていて、午後は夕餉の厨当番までに出陣の疲れを癒すためにゴロゴロする予定だったのだ。現に自室でゆっくりと過ごしていたところを、朝から年越しに向けて書類整理に駆り出されていた長義がふらりと訪れ、博多から預かったと言う甲州金の入った巾着を見せたのだった。
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