淡雪のひかり その日の朝は生憎の空模様で、先日からぼくの家に来る約束をしていた寒がりの恋人は、キルクスのいつ雪に変わるとも分からない冷たい雨に降られて、玄関に入って来た時は子犬のように震えていた。
「おはようございますキバナさん」
「マクワ〜」
どうやら傘を持たずに出た途中で雨に見舞われたらしく、びしょ濡れだった。
寒さから逃れる為かぼくを抱きしめてきたけれど、こんな冷えたまま玄関に居ても仕方がない。
震える彼を宥めながら家に上がってもらう。
暖炉前の1人がけのソファーにキバナさんを座らせて、バスタオルを取りに行く。
ソファーの上で縮こまっているキバナさんの髪をそれで拭いていると、少し落ち着いたのかこちらを見てへにゃ、と笑った。
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