七夕 降魔が終わったら、碧水の原に来てくれないか?
昼間望舒旅館へ来た鍾離はそれだけ魈に伝えると、どのような要件かも伝えずに去ってしまった。その場所で呼び出されることに一体どんな真意が? などと思いつつ、日が暮れると同時に降魔へ向かう。今日は何故かいつもよりも魔が多く、屠るのに時間が掛かってしまった。終わった頃にはすっかり夜も更け、ふと空を見上げれば眩い月灯りと、無数の星が地上を照らしていた。鍾離を随分と待たせてしまったことに少し罪悪感を感じながら碧水の原へと疾風のように宙を駆け向かう。璃月港から随分距離がある地なので、鍾離は既にもう帰っているかもしれない。
「あ、鍾離様……申し訳ありません。遅くなりました」
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