A cere si luna de pe cerエルゴスの研究施設、屋外の開放されたテラスにて。
有角とラルフは長椅子に腰掛け、共に夜空を眺めている。ひしめく星々は昔から変わらず瞬き続けるが、地を照らすにはあまりにもか細い。
人工の灯が満遍なく夜を照らす前──二人が生を受けた時代、闇は底知れず強大で怖ろしいものだった。
時代が過ぎ技術が発達し、人が闇に抱く恐怖は随分と隅に追いやられたようだ。だが光と闇は片方だけで世界は成り立たず、どちらかに傾きすぎれば揺り戻しがくる。
今回のグリモア・オブ・ソウルによる事件も、押し込められた闇の噴出と言えなくもないのかもしれなかった。
「終わったな」
夜陰に溶けるようなラルフの一言に有角は耳を澄ませる。
遠い過去、共に崩れゆく悪魔城を見届けた者と、こうして穏やかに並んでいられる奇跡を噛みしめながら。
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