練習試合の帰り道。
腹が減ったと喚く我等のスーパールーキーを宥めるべく入ったのは、神が友人から勧められたというラーメン屋。店内はポスターや写真が所狭しと貼られている、何とも賑やかな内装をしている。
その中に青いクレヨンで描かれた丸っこいクジラの絵を見つけ、ふと小さな頃の出来事を思い出していた。
「あ!何んスか?宮さん!嬉しそうな顔して!」
「本当だ…クジラの絵?」
目ざとく見つけてくる清田と神に問い詰められる形で喋ることになったのは、僕と牧の小さな頃の話。
牧と僕が最初に会ったのは小学2年生。
その時の牧は僕より小さくて、昼休みは図書館に行くことが多い、少し内気な少年だった。
ただ、運動が苦手だったのかと問われればそうではなくて、球技よりマット運動や跳び箱等の身体能力が高くないと出来ない運動の方を楽しんでた印象があった。
3198