Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    ao_sink

    ネタバレとからくがきとか

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💜 💚 😍 👍
    POIPOI 38

    ao_sink

    ☆quiet follow

    オチは決まってるのでいつか書きたい(願望)

    キスからはじまる悠玲 共有ルームで酔い潰れるなんて真似、以前までなら間違いなくしなかっただろう。それでも今はこの連中になら、そんくらい油断したところを見せてもいいかなって気になってる。それでワインを開け始めたところまではよかった。手酌でもう何杯開けたかわからないという頃、共有ルームのドアが開いた。
     ゲ、と漏らされる声に、なんだ歩かと思って振り向けば、立っていたのはもう一人の武士の方だった。ありゃ予想外しちったな。てか人の顔見て『ゲ』て。そんなとこ、アイツに似なくても。
    「恐ろしく酔ってますね、玲司さん」
    「おう、おかえり。わかるぅ?」
    「わかりますよ。ドア開けた瞬間、アルコールの匂いしましたから。一人ですか」
    「そ。今日に限ってだーれも共有ルームに顔出さないのよ。あーさみし」
     入り口で立ち尽くしていた悠人は、それを聞いてソファーへとやってきて、隣へと腰掛ける。
    「……なにやってるんです」
    「んー? ちょうどいい肘置きがきたなーって」
     酒が入ってご機嫌だったのと、人肌恋しかったこともあって、俺はすんなり手を伸ばしていた。肩に腕を回された悠人は、珍しく困ったような顔をしている。普段ならまずやらないようなことだが、コイツの隣だとガードが緩くなるらしい。自分事なのに、らしい、なんてのも妙な話だけど。
     入浴を終えた後だったのか、悠人からはほんのわずかに甘い匂いがしていた。シャンプーかソープか、はたまた保湿の為に使っているボディローションなのか。この距離だから感じ取れたその些細の正体が気になって、首のあたりを嗅いでいると、更に珍しいことに困惑した様子の声が降ってくる。
    「あの、玲司さん。あんまり顔を近付けられると、……ちょっと」
    「あん? ちょっとナニよ」
     下から覗き込むようにして顔を見ると、ふいと視線を逸らされてしまった。
    「おいおいなんだぁ? 悠人のクセに隠し事かぁ?」
     気の大きくなった酔っ払いなので、言われた側から顔を近付けていることなど無視で、そのらしくない仕草を追って更に顔を寄せる。すると悠人は急にこちらを向き直る。
    「なら言いますが。こうしたくなって、困るんです」
    「っ、ン……!」
     ごく近いところで閃いたサファイアを認識できたのは一瞬で、次の瞬間には唇を塞がれていた。塞いだのは勿論、誰でもない悠人だ。なのに――あ、やじゃないな、とぼんやりした頭でそう思っている。
     俺の方が色濃いアルコールを纏っているからだろう、触れる唇からは何の味もにおいもしない。ただ、一人の男の熱だけがある。
     そういえば、誰かとキスするのは随分久しぶりだった。以前は撮影でそういう機会もあったが、『アイドル』になってからは避けられている気がする。別に事務所も俺もNG出してないはずなんだけど。てかあれ、この前の相手って誰だったかな……などと、うすらぼんやり考え事をしていると、不意に舌が突き出されてきた。
     唇をなぜるぬるりとした感触に背中が甘く震える。ちょお、そっちはだいぶご無沙汰よ?
    「んぅ…、ちょ、待っ……」
     呼吸の合間に漏らした声は頼りなくて、届いたんだか届いてないんだかわかったもんじゃない。目の前の男にキスをやめる素振りはなく、むしろもっと深く繋がりたがる気配すら感じる。
     普段なら、これがシラフなら、冗談キツいってと突っぱねるだろうところ、こうして黙って受け入れているのは、ひどい酩酊のせいだろう。あとは粘膜同士が触れ合ってんのが無性にキモチイイから、だ。
    「……ふっ、ん、ン…」
     キモチイイに身をゆだねて目を閉じてふわふわしていると、悠人は名残惜しそうに口内を去っていった。……もう、終わり? 目を開ければ切ない顔をした悠人が、その背後には見慣れた観葉植物が見える。いつか一緒に運んだベンジャミンライム……ああ、ここ、そういや共有ルームだわ。そんなこと、俺はともかくシラフのお前は最初っからわかってたんだろうな。そこで自分が何をしでかしたのかも、よくわかってる。悠人の顔に視線を戻せば、今度は眉をしかめて、しまったという顔をしていた。
    「玲、司さん」
     ひとまず俺の名前だけを紡いで、頭の中で続く言葉を探しているみたいだった。淡く色づくサファイアが揺れている。行き過ぎた行為を謝罪するべきか、俺の酩酊をたしなめるべきか、あるいは。
    「部屋、連れてってくんね? 俺、結構酔ってるみたいだから」




    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💞💞🙏😭🍋🚕🍷🌝💶💵📘📗💙💚🌵🍜😭😭💖💖😭😭🙏🙏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works