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    kikinanana666

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    kikinanana666

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    はるはや(春名視点)

    放課後、いつもなら部活でメンバーと集まって雑談やらバンド練習をするけど今日は部活は無し。ナツキにジュン、さらにはシキも用事があるらしい。
    適当に教室で友達としゃべったりアプリゲームをしてたら日はもうだいぶだいぶ下の方。見事な夕焼け空だ。
    そろそろ帰るかーと荷物持って教室をでる。昇降口に向かうとき部室に課題のプリントを置いたままだったことを思い出して踵を返し部室へと足を進めた。
    人気がない廊下はしんとして、遠くから運動部の声が聞こえてくる。なんとなく、いつもと世界が違うみたいでわくわくした。

    部室の前にきたとき中からふと声がきこえてきて首をかしげる。
    (誰かいる?)
    よく聞けば女の子の声。それとハヤトの声も聞こえてきた。

    あ……。

    心臓が大きくはねてるのに頭から血の気がひく感覚。こういう場合は、あれだ、定番中の定番だ。

    「好きです……!」

    やっぱり、やっぱりだ。目の前がぐらりと揺らいだ。けどこんな展開無いわけないんだ。ハヤトは優しいし、いいやつだからモテないわけがない。
    どうする?戻るか?なんて考えてたらガラリと扉が開いて女の子が飛び出してきて俺には気がつかないまま去っていく。その後ろ姿をぼんやりと眺めるしかなかった。

    「あれ?!春名?!」

    その声に我にかえりそちらを向くと驚いて目をまるくしてるハヤト。かわいいなぁなんて一瞬思ったけれど、完全に自分が聞き耳たててたデバガメ野郎になっている現状に首を勢いよく横にふった。
    「あ!いや!!覗いてないぜ?!たまたま……!」
    「あー、はは……聞かれてたのかぁ」
    疑う事もなく、偶然聞かれてしまったんだろうと理解してくれたハヤトが困ったように、でも照れたように笑った。
    (やだなぁ……。)
    本当に俺はハヤトに対して忙しいやつだと思う。胸が痛んだり、舞い上がったり。お前は知らないだろうけどな。
    「ごめんな……。」
    「いや、春名は悪くないって。謝るなよ。」
    ぽんと叩かれた腕が熱い。
    あの子の様子だと、きっとハヤトは断ったんだろうな。でもハヤトの口から聞きたい

    「……さっきの子、断ったのか?」
    「あー、うん。」
    「なんで?念願の彼女ができたかもしれないぜ?」
    「はは、それは魅力的だけどなー。でもオレ、やっぱり今みんなでバンドやってるのが楽しいし、それでもう世界がいっぱいなんだよ。あの子には……悪い事しちゃったかもしれないけど……。」

    俺は今すげぇ嫌なやつだと思う。だってハヤトの言葉を聞いて、あの女の子に勝ったと思ってしまった。俺の方が、上だった。正確にはハイジョ全員のくくりだけど、それでも俺が上だ。

    「そんな事ねーよ。あの子もわかってくれるって。」

    ごめんな、ハヤト。俺こんなに性格悪かったみたいだ。
    でもいつか、近い将来女の子にとられるなら今くらい優越感に浸ってもいいだろ。本当は女だろうが男だろうがハヤトはあげたくないけど。
    こんなに性格悪いなら、今すぐハヤトを抱き締めるくらいすればいいのにな。
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    kikinanana666

    MOURNINGなんさに(にゃんさに)審神者視点母の体内にいた頃から神さま達の恩恵を受け、審神者の娘として生まれた後も大切に育てられてきた自覚はある。
    普通の子等よりも所謂霊力の値が高いのは、共に過ごす神さま達のおかげ。
    母は立派な審神者だ。その娘、さらには霊力も高いとなれば将来は立派な審神者になるだろうと政府ではよく話題に上がったものだった。
    しかし審神者に必要な、刀(神さま)を顕現する能力が無いと発覚してからはその話題はぴたりと止まった。
    「霊力が無駄にあるだけ」「たからの持ち腐れ」など言われたが、母は強いひとであったのでそのたびに食ってかかる勢いであった。政府で働く父がそれを制する苦労はなかなかだったと思う。
    母も父も、神さま達も優しく、審神者になることが何も大事な事ではないよと、自分の好きな道を歩めと諭してくれた。
    しかし幼い頃から見てきた母の審神者としとの背中をみて育ったからか憧れは強いものだった。母と同じように神さまを顕現し、共に時間遡行軍を倒し歴史を守りたかった。
    昔はそんな風に夢を語ったが、何度も鍛刀の失敗を繰り返し、いつからか口にしなくなっていった。
    現世の学校に通いながら母の仕事の手伝いをして普通に暮らす日々に、 1532