りゆう「りんねさん、りんねさんはおれがおじょおってのはおいておいて、どうしておれの事好きになったの?」
髪の毛の隙間から覗く黒い瞳がじっと灰色に交わる。不意に思った疑問をのそのそとお布団へ入ってくる彼に尋ねた。もそり、と毛布を抱き寄せつつ輪廻は、長いまつ毛を軽く数度重ねてからじっと愛おしい人を見つめてゆっくりと口角を上げた。
「それは……あなたが、私の名前をよんだからですよ。」
にこり、そう笑身を浮かべながら同じ色の髪の毛に指を通す。
プレイヤーは言われた言葉の意味が理解できない様子でぽかん、と固まった。
「んん……?」
軽く不思議な気持ちを漏らしながら横になっているが故に傾げられないのもあり、猫が丸くなるように不思議に思いながら俯く。
すると、『くふふ、』と聞きなれた笑い声が聞こえてから、ぽふ、ぽふ、と撫ぜられ、そして同じ布団の中、するり、と足を絡められた。
「りんねさん…?」
また黒と灰色が交じわる。
髪をかきあげられると、ちゅ、と柔い唇が額に触れた。包み込むようにぎゅう、と軽く身を抱きしめられれば、何も出来ずに時計の秒針の音だけが部屋の空気に広がる。
ぱち、ぱち、と瞬きをしながら彼を見つめていればそれを遮るように輪廻は口を開いた。
「”お嬢”が”おじょお”だと自覚なさる前から、ずっとひたむきに私にだけ向けてくださる視線、お声、感情全てを受け取っておりましたから。当然の事ですよ。」
いつもこういう疑問をもつと、必ずと言っていいほど、ぼやかされるのはなんなんだろうなぁと、思いながら 「そうかぁ、」と答えをかけて、ぎゅう、と抱き締め返した。
時間はまだ夜の11時。
寝るにはちょっと早かったかな、と彼の首筋に唇を近付けた。