呪縛「俺はりんねさんより先に死にたいなぁ。」
プレイヤーがそう発した言葉にりんねは、キョトン、と目を丸くした。
1人で残される辛さが嫌なのか、それとも、ただ、太く短く生きたいのか。
細い眉をきゅ、と寄せてりんねは問いかける。
「なぜ、そのような悲しい事をおっしゃるのですか、」
そちらを見ずにプレイヤーは答えた。
「俺が死ぬ前に、お前は長生きしろ、っつったらお前さんは意地でも長生きしてくれるだろ。」
いつもながらに前髪で目は見えないが、口元は歯を見せてにかっ、と笑う。
寂しそうにりんねは、目を細める。
言ってしまえば先に命の危険があるのは無論、仕事の都合上でも、りんねの方だ。
歳もりんねの方が上だ。
普通に考えれば先に星を掴むなら、りんねだと、思う。
だが、プレイヤーにそう言われてしまっては、りんねも、考えてしまう事がある。
愛おしいお人の思いは、なるべく叶えて差し上げたい。
例えそれが、りんね自身の願いでは無くても。
あなたさまの、ためならば…。
赤い唇を噤む。
プレイヤーの隣へといつもの様ににこやかに、笑みを作り這い寄れば、そっと、手を取り、握りしめて、目を真っ直ぐに見てこう告げた。
「それが、おじょおの、ご用命とあらば。」
長い睫毛を重ねて、少し俯けば、じっ、と動かずに時を過ごす。
言ってて何も感じていないはずの心に少し霧がかかるような感覚がした。
真意は、きっと、長生きしろ、という意味合いなのだろう。
そうなのだろう、と、遠回しに命を大切にしろ、と命令されているのだ、と理解はしたのだが……。
寂しくもあるのが、人間である、という事なのだろう。
りんね、輪が廻るとかいて、リンネ。
執着する、と言う意味と車輪が回るのと同じように生まれ変わる事を意味する言葉。
ぎゅ、と手が握り返される感覚がして、はっとしてりんねはプレイヤーをみつめた。
「らいせでも、あおね、」
ぐい、と腕が引き寄せられ自分より広い肩幅に抱かれる。
か細く、”はい、…”と囁いて、りんねも腕を回す。
天然の彼は、顔が見えないのをいい事に笑みの仮面を取り払った。
嗚呼、これからは、己の身も、気をつけるべきなのか。と面倒臭さを感じながら。
ーーTwitter即興SS 「呪縛」 了。