ブラジャーの話修行期間のある日。
自室の姿見の前でラキは何やら苦戦中。
「う〜ん……全然閉まらないなぁ…」
オシャレかなと思って買った前ホックタイプのブラジャー。
だが、最近胸が急成長しているせいか全然閉まらない。
「んっ、ふっ…!」
無理矢理ホックを繋いだところで、ノック音。弱めの音なのでシュートだとすぐ分かる。
「どうしたのー?」
ドアを開けて出迎えると同時に、外れるホック、勢いよく零れる豊満な乳房。
「っ!???」
「やだーっ!見ないでーー!!!」
反射で思わずシュートの腹にパンチ。
呻き声あげる間もなく倒れる彼。
「きゃーー!??ごめんねシュート君!!」
「どうかしたのかよ……なんつーカッコしてんだラキ!?」
騒がしいなと思って様子見に来たナックルだが、ラキの胸元を見てしまって咄嗟に目を逸らしながらも鼻血を流している。
「おい、何やってんだお前ら……いや、ホントに何やってんだ」
朝練の時間なのに中々来ない三人に何かあったのかと、見に来たモラウ。しかし、流石は大人。冷静だ。
「まずラキは着替えてスポブラでも買ってこい。ナックルは鼻血拭け。で、シュートは……生きてるか?」
呼びかけても反応がないので、頭を何回か叩いてると漸く起き上がるシュート。
「花畑が……」
「あの世行きかけてんじゃねぇか。まだまだ修行が足りねぇなお前も」
「はい…あの、モラウさん…」
「ん?」
「吐きそうです……ウッ…」
「おい待てここで吐くんじゃねぇ!おい!」
数年後。
「あっ…また取れちゃった」
お気に入りのピンクのブラジャーのホックが壊れてしまってちょっと落ち込んでいると、ノックの後に入ってきたシュートが淡々と言う。
「やはり、スポブラの方がいいと俺は思う」
「えーー、可愛くないもん。いいよまた買ってくるし」
「買ってくるなら揃いのにしたらどうだ?」
「ブラとパンツの気分が違うのアタシは!……あーあ、昔ならすぐ赤くなって可愛かったのにね」
「俺だっていつまでも青い訳じゃない」
ちぇー、っと唇を尖らせると代わりのスポブラを身につけるラキ。
あの頃の可愛かったシュートをもう一度見る為の作戦を思い描いて。