リオセリ捏造過去話…をAIに少し書いてもらった「まったく、何でこんな猛牛みたいなのと」
「そりゃアタシが聞きてぇぞ小僧。……先生の指示でも無けりゃあ、テメーと組むなんて絶対にお断りだってのに。あと先輩は敬え」
通常、守護騎士は従騎士と行動を共にする事が多い中、こちらは守護騎士同士の組み合わせ。特例も特例、何を思ってか『吼天獅子』の采配である。リオンはこれ見よがしにため息をついた。
「……まぁいいですけどね。とにかく、さっさと終わらせましょう。こっちは忙しいんですから」
「ふん、相変わらず可愛げの無ぇ。……それにしても、まさか本当に来るとはな」
「?」
「いや、何でもねぇよ。それより、そろそろ時間だぜ」
「はい」
二人はそれぞれ獲物を構える。そして―――
「行くぜ!」
「はい!」
同時に駆け出した。
***
ある集団による人体実験の調査、及び必要に応じて集団の壊滅――今回の『外法狩り』は、アルテリアからそこまでは離れていないある田舎の村での事。
こういった非道の類ですぐに思い起こされるのはD∴G教団辺りだろうが、当然というべきか、それ以外の有象無象も後を絶たない。
規模はおそらく少数、使われている技術も彼らに遠く及ばない粗末なもの。ゆえに危険はないだろうと、年若い二人が派遣される事になった。
両者とも星杯騎士の最高峰、守護騎士としての修練を終えており実力はその名に決して恥じない。しかし、『実戦』の経験についてはまだ浅いと言わざるを得ず、本人たちもよく自覚しており、今回の件で師に力を示そう、と、個々の士気はとても高いのだが……如何せん折り合いが悪い。
結果、調査自体はつつがなく進み、後は事後処理を残すのみ、となった時だった。
「おい、ありゃあ……」
「うわ、またですか」
「ったく、どいつもこいつも……何考えてんだ」
二人の視線の先にあるのは、村の広場にて繰り広げられている光景。
村人達が、まるで罪人を裁くかのように次々と拘束されているのだ。しかもその数は十人二十人と増えていく。中には幼い子供の姿もあり、事態の異常さを物語っていた。
二人は顔を見合わせると、素早くアイコンタクトを取り、その場へ急行した。
まず目に入ったのは、やはりというかなんと言うか、この場の責任者らしい初老の男。彼は二人を見ると慌てたように叫ぶ。
曰く、これは正当な権利なのだ、とか。
曰く、我々は正義の行いをしている、だとか。
曰く、お前達も一緒に来れば分かる、だとか。……聞くに堪えなかった。
二人は剣を抜き放つと、問答無用で斬りかかる。
だが――
ガキンッ! という音と共に弾かれた。
見れば、彼らの前にはいつの間に現れたのか、巨大な盾を持った男が一人立ち塞がっている。どうやら彼が男達の身を守ったようだ。
男は手に持った大楯を構え直すと、そのまま突進してきた。
二人はそれを受け止める――が、勢いを殺しきれず吹き飛ばされてしまう。
すかさず別の男が槍を持って飛びかかってきたが、これも同じく弾き返された。
彼らは体勢を立て直すべく一度距離を取る。そこでようやく相手の姿をまともに見る事が出来た。
一見するとどこにでも居そうな平凡な容姿をした中肉中背の男。しかし全身を包む雰囲気は、明らかに普通ではない。
男の瞳には狂気の色がありありと浮かんでいた。
そんな彼を、背後に控えていた他の者達が囃し立てる。
あの二人を倒したぞ、凄いじゃないか、流石だ、などと口々に言いながら手を叩いているのだ。
(――狂っていますね)
リオンは内心毒づいた。
おそらく、いや間違いなく目の前にいるこの男こそが首謀者だろう。そして彼の指示で村人達も動いているに違いない。
つまり、今ここで自分達がすべき事は一つ。
リオンが合図を送ると、即座にセリスが動いた。
彼女は瞬時に相手の懐に飛び込むと、その身体を思い切り蹴り飛ばす。
男は咄嵯に大楯を構えたものの、その威力を殺すには至らず、大きく後退させられた。
そこに追い打ちをかけるべく、リオンも駆け出す。
だが、次の瞬間――
パァン!! という破裂音が響いた。
そして――
ドサッ 何かが崩れ落ちるような音が続く。それはセリスの右腕から聞こえてきたものだ。
見れば、肘から先が消失している。
そして、痛みは無い。
にもかかわらず、感覚だけが鋭敏になり、血飛沫を上げている。
何故? そう思うより先に、直感で理解した。
――狙撃。それもかなり遠距離からの。
慌てて周囲を確認するも、それらしき影は見当たらない。それどころか、視界の端で動くものすら見つけられなかった。
敵はかなりの腕利きらしい。
このままでは不味いと、本能的に悟ったセリスは、強引に左腕だけで斬撃を放つ。
狙う先は、未だ呆然としたままの男。――手応えはあった。
しかし、同時に奇妙な違和感を覚える。
まるで水の中に刃を突き入れたかのような感触。
思わず視線を向けると、そこには無傷のままの盾があった。
直後、リオンが駆け寄る。
男はニヤリと笑うと、再び大楯を構える。