「人を模倣した存在ねぇ……」
ルミは顎に手を当てながら先ほど聞いたMeme_@の情報について考え込んでいた。
「どうしたの?ルミ、さっきのこと聞いてなにか考え事?」
そこにきょとんとショウがルミの様子を覗かせる。
「えぇ、そうね。中には攻撃的なMeme_@もいるみたいで先輩たちも手を焼いてる見たい。」
「それは大変だ。でもこの上ない美人のルミが二人も増えてしまうなんてこんな素敵なことはないはず!」
「それが厄介だっていってるの!このバカ!!」
ルミの先ほど顎に当てていた手は今では額を当てている。そもそもそんなことが許容なんてされてしまえば我が家のダーリン、ショウも、また偽物の私のために大暴れするだろう、そう考えながらため息をついていた。そしてため息頭を上げると横目に身に覚えのある姿があった。
(え、あれは一体…??)
それはフリルブラウスに可愛らしいロングスカートを身につけたルミとそばに自分を揶揄うかっちりと小洒落た服装をしたショウであった。
(あれが私のMeme_@…??)
ルミは自分の偽物に目を開いてしまう。なぜなら、あのMeme_@の格好は以前ショウと買い物に行ったとき、ショウに私服がダサいと言われわざわざ服屋に出向いて選んでもらったものだからだ。結局のところ、ショウはルミの所持金から服代を出そうとしていたので一式買うのは取りやめてしまったが。それにしてもショウとルミのMeme_@は喧嘩しながらも楽しく園内を歩いている。
─自分もあの服を素直に買って私服警備をしていればあの二人のように楽しめたのではないか
ルミはそんな淡い後悔を抱いていた。
「るーみ?どうしたの?もしかしてオレのニセモノに惚れちゃった?」
するとそこに長いショウの手が肩に乗る。ルミはそうでもないと振り切ったが、もしかしたら間違いを犯したような気持ちだった。
「ショウ、さっさと追いかけよう。」
「わかったよ。」
さっきとの会話でMeme_@は見逃してしまったがルミはさっきの気持ちに蓋をした。冷静に判断しておそらくMeme_@が言った方へとルミショウ二人は前へと突き進んでいく。