遠くの虚無で蛇が話しかける静かな昼下がりの午後、片巣博士は無心にサイトの中庭で寝転んでいた。
「………」
「やぁ!そこの君!ここで寝ることは当たり前のことなのかな?!」
「……そうじゃないです…」
いろいろと職務放棄した上でかすかな声で答えた。見たことのない白髪の女性だ。おそらく客人だろう。
「じゃあこれは君の趣味?」
「そうでもなくただ疲れているだけで…」
「なるほど。だったらワタシは引いたほうがいいみたいだね。」
「じゃあ片巣博士!君が言ってた待合場所で待ってるよ!!」
「……へ?」
名前を呼ばれていたことでようやく目が覚める。白髪の女性、そういえば今日はうーろん博士という研究者をサイトに呼んでいたことを思い出した。急いで立ち上がる。そのあとうーろん博士が片巣のことを興味津々に面白がっていたのはまた別の話……
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