『私自身』という怪物うっすらと目を開ける。そしてパチンともう一度目を開けた後胴体を立ち上げる。周りを一周確認したが周囲は霧が立ちこんでいてよく見えない。
「ここは、どこ…?」
「おはよう。」
「え、…??」
黒い影が私の後ろに立っていた。その影が発する言葉には優しくも温かみのある聞き馴染みのある声が私の耳元に響いた。いや、そうじゃない。だって本当に"聞き馴染み"のある声…自分の声がしたのだ。
「貴方は誰…??」
声の主に自分は不思議がって質問した。するとその主は
「それはもちろん、私。貴方自身だよ。」
と返事した。だけどその返しに私は「なんで私が…」と目を丸くしながら震えるしかなかった。でももう一人の自分はそんな私を見て「自分が守る約束を果たすためだよ。」と答えてくれた。
『約束』…
「そうだよ。約束だよ。貴方は蒼汰さんの想いを継ぐために刀を握るようになったんでしょ?」
「でもその約束が破られようとしている。」
「約束を破っちゃったら相当の仕返しが待ってる。」
「でもだからこもう一度決意して。」
「約束を守らないとって。」
がばっともう一人の私が姿を変える。縄と紐で形作られた怪物だ。私はその怪物に怯え、でも託さないとと感じた。
だってどんな方法をとっても蒼汰さんの想いを守るって決めたんだもの。
─────
「ぁかね…?!茜!!!」
「?!」
もう一度うっすらと目を開けパチンと開く。いや、これは一度目でさっき開いたのは夢の中の景色だったかもしれない。そして開いたまなこを上に向けると私の相棒、青丸が見えた。
「よかった!!びっくりしたよ…だって敵の攻撃で意識を失ったんだから。」
「もしかして気を失ってた!?」
今の状況にどうしても驚いてしまう。それもそのはず、だって私は暗い空間で…あれ?何をしてたんだっけ?
「はぁ…そうだよ。茜はどうしても人間として突いてはいけないところに突いてしまった。それで気を失ってたけどそこに知らない刀遣いが助けてくれたんだよ。」
青丸が今までのことを説明してくれた。同時にさっきの不思議?だった体験を説明しようとしたがどうしても思い出せないから話すのは辞めた。
でも唯一言えることはあった。
「そっか…でも気を失ってた時になにか大切なことを思い出せようとされてたような気がするんだ。」
「ねぇ、青丸?私がもし化け物になっちゃったら貴方はどうする?」