モーニングコール意識の向こう。遠くから自分の名前を呼ぶ声がする。少しずつ浮上していく意識に反してまだ眠っていたいと本能が駄々を捏ねるのでそのまま睡魔に身を委ねてしまおうかと思えば、むにっと摘ままれる感触。
「ぷはっ、」
「起きろ。」
眠りを妨げる息苦しさと声に促されて目を開ければ、視界に入るのは愛しの恋人。楽しそうに笑うシュバルツは可愛いのだけれど、男の握力に摘ままれた鼻が痛い。
「おひゃよう。」
「おはよう。」
チュッと可愛いリップ音たてて頬にキスがひとつ。これが唇だったなら最高なのになんて贅沢なことを思いながら身体を起こす。ハーマンが起きたのを確認して漸く鼻から手を離してくれた。
―…ピピピピ、
いったい何時なんだと思っていればタイミングよく鳴るアラーム。それを片手で器用にシュバルツが止める。
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