助けてよ、ヒーロー(2) 場地の様子がおかしくなったのは、今考えてみれば、羽宮一虎が少年院から出所してきた後からだったのだ。
「あー、今日はちょっと用事あるから、先帰るわ」
東卍の集会もない日、いつもみたいに一緒に帰ろうと場地の教室に向かっても、そんなふうに断られる。断られるだけなら千冬も気にしなかったかもしれない。場地は場地なりの交友関係を持っている。佐野万次郎とツーリングに出かけたり、その彼に対する愚痴を零すために龍宮寺堅と会ったり、林田春樹の飼い犬と遊ぶためその家に向かったり――そういう時、千冬は誘われない限りついていかないようにしていた。場地がどれだけ創設メンバーを大事にしているかを知っているつもりだったし、そこには自分などが入り込めない絆のようなものがあることもわかっている。そして、それがあってこその場地圭介だということも。
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