Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    ラッキー

    ほぼ一次創作。たまに版権
    創作サイト https://dokoiko7.net
    ツイッター @dokoiko7
    しぶ https://www.pixiv.net/users/1247670

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 276

    ラッキー

    ☆quiet follow

    FE風花雪月*前のユリレス漫画 https://poipiku.com/2520/1808320.html のとき、まとまらなすぎて自分用に小説書いてから漫画化したんだけどその時のテキストが出てきたので。
    自分用かつ真面目に書く気がなかったのでゆるゆるです…
    後編のテキストもあるんだけどこれよりもっとひどいので出す気はないです…
    ----------------------------------

    ##版権
    ##FE
    ##FE風花雪月

    ――なんとなく、夜明けは嫌いだ。
    (うわ、夜が明けちまった。今日は時間かかったもんな……)
     背後から差した明かりを振り返り、ユーリスは嘆息した。
     しょぼしょぼする目をこすりながら、洗いたての太陽が差し込む寮一階の前を歩いていく。眠気と疲労で足先が重い。何せ昨日の宵に修道院を発ち、今やっと帰ってきたところなのだ。
    (今夜行った貴族の領地は遠かったから、行って帰ってくるだけで疲れたな……もう一日余裕があったら助かったが、明日は課題があるから外せねえんだよな……ああ、早く帰って休みてえ……)
     心の中で愚痴を並べながら、ユーリスはアビスの入り口に目を向けた。その視界に入り込んだ異物に眉をひそめる。疲れで幻を見たかと思わず目を擦ったが、どうやら現実らしい。
     アビスの入り口は実は寮の隅にあり、そして寮の一番端の部屋は、我らが学級の教師に割り当てられている。
     その教師が自室の扉に寄りかかって座り、そこに眠っていたのだ。
     ユーリスは、なぜかどっと疲れが噴き出すのを感じた。
    (……なんでこの先生は外で寝てるんだよ……自室使用禁止令でも出されたのか?まさかな)
     ――この教師のことは、よくわからない。今までユーリスが相手取ってきたのは何かしら欲がある連中ばかりで、ここまで無欲な人間に会ったのは初めてだった。その手に握る英雄の遺産ですら、あれだけレアに念を押されていても、大事な生徒が貸してほしいと言えば逡巡なく渡してくれるだろう。
     聖者なのか、単なる愚者なのか。
    (……本っ当、あんたは何を考えているのかわからないよ)
     ただ……前回こちらの事情の縄張り争いに巻き込んだ際に、部下を助けてもらった恩がある。善悪というか、絶対に関わってはいけない手合いには頑として手を貸さない点を見る限り、信用できる人間だというのは理解した。
     仕方なくユーリスは、眠りこけている師のそばに近付いた。
    「おい先生。もう朝だぞ」
     天帝の剣を抱くようにして眠るベレスの肩を軽く揺らすと、すぐに反応があった。
     ベレスは顔を上げ、少し目を擦ってからユーリスを見て、あっと目を開いた。
    「おはよう、ユーリス」
    「よう、おはようさん。こんなとこで寝てると体に悪いぞ」
    「そうだね、いつの間にか寝てしまった」
     ユーリスは笑ってから、すっと表情を消した。
    「あと、ここはアビスの入り口が近い。俺が仕切っている限り、アビスの連中に好き勝手やらせるつもりはねえが……アビスは広い。俺の目の届かないところに見境のない連中がいる可能性がないとは言えねえ。まあ要は、不用心にこんなとこで寝るんじゃねえ、ってことだ」
    「それなら大丈夫、敵意のある気配が近付いてきたら飛び起きる」
    「ああ、あんた傭兵だもんな」
     ベレスがふっと不敵に笑うので、ユーリスは笑った。
    「昨夜からユーリスがいなかったから、また抗争か何かかなと思って、帰ってくるのを待っていたんだ。……まあ寝てしまったけど」
    「はは、さすがのあんたも眠気には勝てねえってか。俺も一晩中、忙しくてね。心配しなくても課題にはちゃんと顔出すから、用があったらその時によろしく」
     ユーリスは疲れた息を交えて言うと、アビスへ戻る道に足を向ける。返事はなかったが、まあここを呼び止める人間ではないのはわかる。
    「……あ、そうだ」
     と思ったら、背後からベレスの声がした。
     なんとはなしに振り返って、ユーリスは目を細めた。
    「おかえり、ユーリス」
    「……ただいま」
     眩しい夜明けの光をまとった師にぼんやり返事をして、淡く思った。
    (――やっぱり苦手だな)
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works