スレイ一人に過酷な運命を強いる世界から隔離して幸せなものだけを与え続けたい。
遺跡探検で目を輝かせたりとかソフトクリーム食べたいと甘えてきたりとか、そういうことに囲まれていてほしい。
それでもスレイが戻らなければならないなら、せめて僕も連れて行ってくれ。
彼の存在なしに『僕』は成り立たないんだ。
全てが『上』の匙加減で決まるもどかしさを越えて、運命が定まった。
結果として、誰一人欠けることはなかった。スレイは相変わらず僕の隣で笑っている。
スレイのどんな表情だって隠されずに見たいけれど、やはり笑顔が一番。
「……好きだよ」
空気が冷える。声に出すつもりはなかった。嫌われていないという確信はあるけれど恋心を抱かれているかは不明瞭なところ。仮に僕の片想いだとしてスレイのことだから変わらず接しようとしてくれるだろう。気遣わせてしまう自分が嫌になる。
529