本気④悠仁が目の前にいる。
その空間は白くて柔らかい光に包まれていた。
歯を剥き出して笑う笑顔とは違って、優しく微笑んでいて、頬を赤らめている。
『五条先輩』
元気いっぱいに呼ばれるのとは違う。胸の奥がじんわり暖かくなる呼ばれ方。
『五条先輩…』
(ゆう…じ…)
名前を呼ばれると幸福感に満たされた。
悠仁が両手を伸ばして、俺の頬を包み込んだ。
『先輩…好きだよ』
やっぱり、居心地いいな
(悠仁、俺も…)
悠仁の背に自分の腕を回した。
◻︎◻︎◻︎
「…んぱい。ご、じょう先輩。五条先輩!」
「はっ!」
だんだん大きくなる悠仁の声に目が覚める。
さっきの悠仁は夢だった。
「早く飯食って、高専戻ろうぜ」
「ん?え、あぁ…」
「あはは、先輩、寝癖やばいよ!」
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