「なんか荒木田エルフかもしれないから書いてみた」 森深くに隠れているエルフの里に異世界から迷い人が現れる。泉玲が風呂上がりに一杯、いやいくらかキメたところで気付いたら見た目麗しい人達に囲まれていた。
「おい…お前、どっからきた?」
「え、あの…?ここは…」
「見ねぇ顔だな。ここがどこか分かっててきてんのか?」
「ここがどこか…?」
「おい、とぼけんじゃねーよ」
「ここ、どこです!!?」
明らかに泉玲は不審な様相を呈していた。
「それに…なんだ、その…格好は」
「その格好は…?……??!」
一人暮らしに慣れきってしまった人間は、自分のスペースで着飾る事をやめる。泉玲も例外ではなかったのだ。
「ちょっ…!?あああ…」
どうりで寒いと思ったら下着なしの肌着のみで、四肢が丸見え。おまけに手にはビールから切り替えた後の透明の酒が入ったグラスがある。
「夢…ですね?」
「…おい、こいつを捕らえろ」
色白の青年が指示を出すと周囲にいたもの達が警戒しながらむき出しの手足を掴んで拘束した。
「夢ですね!!?」
呆れた様子で見送られ、左右から麗しい民に追い立てられるように移動した先でキャパオーバーの為意識がとんだ。
「おい…」
「…」
「起きろ」
「……おかわり…です」
「起きろ…!」
「わああ!?」
眠りから強制的に起こされるように覚醒した頭で周囲を確認する。どうやらほとんど時間が経ってないようだった。
「あなたは…」
「いい加減にしろよ、どうしてそんなに気が緩んでるんだよ」
「分かりましたよ。そーやって適当なテーマパークに連れてきて!セミオープン見たいなやつでしょ?帰してください」
「は? 何?」
「私もこんな格好でいつまでもいられません!」
「いや、それは…知らねーよ…」
チラチラと見ては顔を赤くする青年に気まずくなってくる。
「何見てるんですか!」
「お前こそなんなんだよその格好は…!」
「これは私の日常スタイルなんです!そんなウブな反応したって騙されません!」
「何…っ?」
「どーせ貧相な身体とか思ってるんでしょ!?」
武器の所持も何もしてない奇妙な人間を隔離したものの、言葉は分かるのに話が理解できない状況が続く。
興奮したままグイグイ近寄ってくる女に色素の薄い青年が気迫に押されて後ずさる。
「女は愛嬌だ!!」
「はっ!?」
急に目の据わった女が青年にしがみつくようにして倒れ込む。
過度な肌の接触で身体を固くした男はひとまず体重を乗せてくる目の前の女を抱きかかえて受身を取った。
「いい加減に…っ」
「…気持ちが…わるい……」
酔いと立ちくらみ、状況変化についていけなくなった身体が負荷を感じて身近な男に全てを託したのだった。
「なん…っだよ…!」
抱き留めてから男は気づいた。
貧相だとか言っていた女の身体が存外柔らかく、温かい事に。
「〜〜…!!?」
無意識に自分の身体に押し当てられた胸の膨らみと細い腰、自分の脚に絡まる生身の肌。
このエルフの里の次期首長である荒木田蒼生は過去一番の混乱を極めた。
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