猛暑日夏休み、太陽の光が青い空の鮮やかさを忘れさせる。それはあるとても暑い日の思い出であった。
ぼくは早めに部活を終え、学校で自習していた行秋と帰っていた。道が登り坂に入った時、乗っていた自転車を降りてゆっくりと歩き出した。
今日はとても暑い日で、体から汗が滝のように流れ出る。姿が見えないほど眩しい太陽は真上からぼくらを焼き付けていた。
*
そこそこ長い登り坂、何歩歩いたかわからなくなった頃に右耳から聞こえてきた。
「ちょーうん、ちょーうん」
行秋の声はいつもよりずっと疲れているようだった。
「ん……」
ぼくも余裕のない返事をする。夏バテしやすいぼくは、もう正直自転車を押すことで精一杯だった。
「やっと上に来たね」
坂を登り終えて、そこには交差点がある。田舎の坂の上だからこその、視界がひらけた交差点。昼時でこんなにも暑いからか、人通りは少なく、煩いはずの蝉の声が遠くから聞こえてくる。
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