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    いっか

    成人済み腐あり
    ドラク工10うちよそかきたい民
    今は軽率にエル主♀する
    支部(まとめ用本家)https://www.pixiv.net/users/684728
    くる(引越し先) https://crepu.net/user/ikkadq1o

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    いっか

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    エルジュ×主♀。全年齢。天超え5話直後。
    ついったらんどのジューンブライドエル主ウェディングに間に合わなかった産物です。遅ればせですが少しでも楽しんでもらえれば。相変わらず胸が痛めですが!

    マリアヴェールと青い船清潔なホワイトクロスに包まれた想い人を朝一番に目に入れて、混乱するなという方が難しい。

    レンドアの宿屋のベッドで目を覚まして、眠い目を何度か瞬きした後に飛び込んできたそんな状態に、とりあえず叫び出さなかった自分を褒めたい。
    窓から差し込む白い朝日はそれなりで、午前中とはいえ早起きとは全く言えない程度の時間なのはわかった。

    エルジュが突っ伏していた目の前のベッドの上でくるまるその人を、起こさないように慎重に身を起こす。
    ベッドの空いた端にそっと座って見下ろしてみても、エルジュ自身はきちんと服を着ているし乱れた様子だってほとんどないことに一先ず安堵した。
    仮に何かが起きていたとしても、エルジュが全く覚えていないだなんて冗談じゃない。
    そもそも、どうして同じ部屋のベッドで眠っているんだっけ、と顎に手を当てて、昨夜の出来事を急いで思い出す。



    昨日、故あって六十年前のナルビアの町に、盟友と二人で時渡りをした過程で、エルジュが患っていたメラゾ熱とやらの病が治った。
    そうして、破邪の紋章のレシピを手に入れた後、盟友がその材料を時の車掌に預けてきてくれたから、しばらくの間は待機になることを隠れ家で確認しあったはず。

    問題はその後。
    賢者ホーローの隠れ家で、その破邪の紋章の話を終えた後に、エルジュの快気祝いをしようという声が上がったのだ。
    思うに、エルジュの看病やら、封印やらで働き詰めにつき、暇がなかった賢者たちが一息入れたかったのだろうとは察している。
    酒を口にする事由はいくらあってもいいものだとグレン城で再三学んでいるので、それについては異論はなかった。
    口実にされたとはいえ、病に伏している間に三賢者と盟友がたいそう心配してくれたのを知っているだけに、有難いとも思うし無下にもしたくない。
    ただし、エルジュ自身は、体調が完全に治ったとは言い難かったので、酒類は一口も口にしなかった。

    さて、当の盟友であるが、こちらも賢者らに比べれば、さほど呑んではいなかったと思う。
    あまり思い出すと心内が落ち着かずに冷静に思考できないので気が進まないが、詳細を把握するためには致し方ない。

    昨夜はそれなりに酔った盟友が、隣に座っていたエルジュにくっついて離れなくなった。
    絡むというほど絡むわけでもことさら泣いたり笑ったりもしないし、大袈裟に酒癖が悪いというほどではない。
    ただ、ある種の気のある他人にするには見過ごせない酔い方、という点を除けば。
    そういう意味で、困った奴だな、と思ったのはよく覚えている。
    隠れ家に来る前に、魔物を討伐してレシピの材料を手に入れてきてくれたのだし、思っていたよりは疲れていたのかもしれない。

    結局、日を超えたところで、賢者たちが結構な量を飲んだ末に酔い潰れて眠ってしまい、盟友もエルジュの膝を枕にしたまま眠ってしまった。
    ブロッゲンが小さなソファ、エイドスが自主的に向こうの部屋のソファに転がった、となると、ホーローの隠れ家の中には、もうあとひとつベッドがあるだけ。
    家主であるホーローを差し置いて盟友を寝かせるわけにもいかない、と、エルジュはため息をついて苦笑した。

    盟友の肩を静かに揺らせば、薄く目が開かれた。

    「……ん、……エ、ルジュ?」
    「気持ちよく眠っているところすまないな。お開きみたいだ。」

    やや回らない舌で、そお、と甘めの響きを残す声が心臓に悪い。

    「ボクはホーロー様をベッドに運んでくる。そうしたら、君を家に送るよ。」
    「んん……はあい、行ってらっしゃ……」

    グラグラと首の座りが悪いまま盟友は頷き、目の前のテーブルに腕を組んで突っ伏した。
    わかっているんだか、いないんだか。
    スピスピと小さな寝息を立てる寝顔に笑みを浮かべ、名残惜しいが一度席を立つ。
    床に転がってしまっているホーローの身体を両手で掬い上げつつ魔力の助けを使って静かに抱え上げ、寝室へと運ぶ。
    季節柄か夜は蒸し暑くなってきているので、薄手の布団を彼にかけて、それからテーブルのある部屋に戻ってくる。
    エルジュの足音で気がついたのか、眠そうな目と共に顔を持ち上げた盟友がこちらを見て微笑んだ。

    「おかえり。」
    「……ただいま。」

    他意はないのだろう、そんな受け答えにジクリと胸が痛む。
    そんな他愛無い言葉を、毎日交わせるような立場だったなら良かったのに。

    立ち上がってふらつく盟友の腕を掴んで支えながら、二人で隠れ家を後にする。
    外に出ると、湿気を含んだ夜風が気持ちいい。

    「今日は自宅に帰るのか?それともエテーネの村に?」
    「んー……」

    答えぬまま揺ら揺らと首を振る様は、悩んでいるのか聞いていないのか。
    酔うとこんな風になるんだな、とは思うが、そこに煩わしさよりも、途方もない可愛らしさを感じてしまう。
    そのまま、まだ掴んでいたままの腕の方にふわりと頭を凭れさせて体重をかけてくるので、慌てて腰を掴んで身体を支えた。

    「…………おい?なあ?」

    返事がないどころか唸る様子すらなくなったので、訝しみながら顔を覗き込めば、またスヤスヤと寝落ちている。
    隠れ家をちゃんと出た時点で気が抜けたのか、今度は肩を揺らしたところで起きる気配がなかった。

    「……どうしろって言うんだよ……」

    残念ながら、エルジュは盟友の自宅の住所を聞いたことがない。
    それに、エテーネの村は今いるレンドア島からは遠くレンダーシア内海の中心にあり、今すぐ連れて行くのは難しい。
    この人のことだから、貴重と言われるルーラストーンはいくつか持っているのだろうが、ルーラストーンというものは行ったことのある場所でないと効果がないのだ。
    エルジュは自宅にもエテーネの村にも行ったことがないし、借りたところで飛べるわけがない。

    約五分もの時間をたっぷり悩んで、仕方ない、とエルジュは深く深くため息をつく。
    掴んでいた腰からそのまま右肩に頭を乗せて、盟友を担ぎ上げた。
    とにかく、宿屋で休ませるほかない。
    勝手知ったる宿屋への道を辿り、眠っているせいか熱いくらいの体温に胸を焼かれながら静かに歩いた。
    受付で尋ねれば、残念ながら一部屋しか空いていないらしい。
    ベッドが二つはあるようなので同部屋になるがそれで頼んで、規則正しい寝息を立てる盟友の身体を抱え直して運んだ。

    部屋に入るなり盟友をベッドに下ろす。
    それから離した自身の両手を軽く組んで、固まった肩や背中を伸ばし、ふうと大きく息を吐く。
    エルジュは男性であっても魔法職な上に現時点では病み上がりで、人一人運ぶのだって容易ではない。
    それでも、他人のように破邪船で運べばいいと割り切れないのは自身の私欲だ。

    部屋の向こう側の壁につけられたベッドを見て、膝をついていた身体を起こしてそっちに移動しようとした途端に、クンッと前に引っ張られる感触に目を開いた。
    いつの間にか盟友の右手がエルジュの白いシャツをしっかりと掴んでいる。
    抱えていた間のことか、不安定な揺れに備えて無意識に掴んだのか。
    盟友のその手首を軽く掴んでも、離れる気配もなく、揺らすと嫌がるようになお強く掴まれた。

    「……ボクに、どうしろって言うんだよ……」

    ここまでだって度重なる衝動に歯噛みしながら連れてきたというのに。
    再び膝をついて、ぴったりと目を閉じて眠る盟友のほんの目の前に座って、盟友の右手をそっと握り込む。
    そうしたら、手が少し緩んでホッとしたのも束の間、そのままエルジュの右手に絡んで、そのまま動かなくなった。
    あ、と泣き出しそうな感傷と暴熱を抱き、自身の手の中に収まった小さな右手に意識が持っていかれる。

    じわと侵してくるかのような体温が、ひどく忘れがたく、切なくて。
    それで、愛おしかった、から。

    「…………少しは眠れたらいいんだが。」

    きっと無理だろうな、と内心でため息をつきながら、エルジュは諦めてベッドの脇にポスリと額を埋めて呻く。
    そのまま、できるだけ寝顔は見ないようにうつ伏せて、ずっとうとうとしていたような気がする。



    そうだ、そのまま。
    浅いうたた寝を繰り返してよく眠れなかった頭ですぐに思い出せなかったのは無理もない。
    ついでに、変な体勢で寝たから身体もガチガチに固まっていて、病の時よりもずっとひどい。

    そこまでエルジュが思い出したところで、エルジュの背中にトスと布の感触と重みが訪れ、びくりと肩が跳ねた。
    恐る恐る振り向けば、盟友がまだ眠そうな顔をしながらベッドの上に座り込んでいる。
    先ほども思ったが、どうしてマットに敷いてあるシーツにくるまれるんだ。
    寝相が悪いのかとも思うが、どうも空いた手足で掻き寄せ抱き寄せした結果らしい。
    頭から被った真っ白いシーツが両側に垂れているのも気にせず、ふわふわと揺れる盟友が顔を覗かせエルジュを見上げ、柔らかく目を細めて笑った。

    「エルジュ、おはよぉ。」

    それを見たら。
    なんか、もう。
    ダメだった。

    すでに外れていたはずの右手を盟友の頬へと伸ばす。
    自分がどれほど情けないような顔をしていたかなんて想像もつく。
    それくらい、どうしようもなく情けないことを口にしていた自覚があった。

    「……結婚、しない、で。」
    「………………は?」

    言われたことがよほど理解できなかったのか、パッチリと目を開いて、何度も瞬きしている盟友を前に、エルジュが手を引っ込め、う、と項垂れる。
    頭を垂れるそばからポタポタと涙が溢れていった。
    エルジュの様子に慌てたように盟友が眉を下げるものだから、たまらずいまだに白い布にくるまれた盟友をそれごと抱きしめた。

    「エルジュ……?……え、と……結婚しないで、って……誰が?」

    明らかに疑問しかない台詞が耳元で溢されるのを聞いて、そりゃ、そうだよな、と泣きながらも苦笑する。

    盟友の頭から垂れ下がる無垢な白さを見て思い浮かんだのは、花嫁のマリアヴェール。
    いつか、この人も誰かの隣で、こうしてヴェールを被って、幸せそうに笑うんだ、と思った。

    それが、たまらなく、嫌、だった。

    「…………ごめん、わけわからない、我儘を言った……」

    忘れてくれと一言言えばいいのに、それすら言えないくらい、自分の想像が遥かに嫌だった。
    一瞬、盟友が少し悲しそうな顔をして、それでも、吃と自分を見上げる顔はすごく凛々しい。

    「…………教えて?」

    きちんと受け止めるつもりでそう言ってくれるのは嬉しい。
    この人は、最初からこういう人だった。
    幼いエルジュの言うことを、子どもだ、未熟だと馬鹿にしないで、真摯に聞いてくれたし、エルジュを信じてもくれた。
    それすら解らず、最初は、変なやつだ、と思っていたのも、今では遠い記憶。

    「……ボクは、君と違う時代を生きる人間だってことは重々承知しているし、ボク自身が君と結婚したいだなんて思っていてもそんな夢みたいなことを言うつもりはなかったんだ。」

    それくらい、好きだった。
    それでも、かけがえのない友人との約束のために、自身がやるべきことはわかっているつもりだ。

    でも。

    「君が、他の誰かと結婚するだろうことだって、わかってた。……わかってた、はずだったんだ……でも、実際に、君に会ってしまったら……耐えがたくなってしまった。君には、誰とも結婚してほしくないんだ、って。」

    それだけ、目の前で生きて笑う、この人が。
    好きで好きでたまらないんだ。

    なんで急に、と言いたそうな盟友の赤い頬を見て、エルジュはクスリと笑ってシーツを引っ張り、これのせいだよと小さく言えば、納得したように頷いて盟友はシーツを下ろした。

    「ボク自身が君と結ばれないことに納得はできても、君が他の誰かと結ばれることには納得できていなかった……それだけだよ……ごめん、狭量な男で。」

    そうはいうが、エルジュだって、病が治るようなことがなければ、こんなことがなければ、きっと何も言わずに帰ることができたと思う。
    自身が病に冒され、長くない命を前にしたら、盟友に無理を言うことなど絶対になかったと胸を張って言える。
    寛容とは違うが、狭量な一面を見せずに済んだという話だ。

    ようやく止まった涙の跡を指で拭って、それからエルジュは湿っぽい空気を振り払うように音を立てて寝台から身を引こうとした。
    そうしたら、昨夜みたいに盟友の右手がシャツを掴む。
    え、と顔を上げたエルジュの目の前には、頬も耳も真っ赤にして窺ってくる盟友の姿。

    「……ど、しよ。」
    「な、にが……?」
    「…………結婚したくなっちゃった……エルジュと。」
    「………………は?」

    とんだ意趣返しをされた。
    唖然としたエルジュの前で、盟友は一転して嬉しそうに両手で口を押さえてふふと笑っている。

    「エルジュに言われなくても、元々、結婚する気なんか全然無かったんだよ。」
    「…………どうして?」
    「だって、権力関係とか交友関係とか、かなり面倒くさくてさあ。」

    七面倒くさいと溢したこの人の長い旅路を思えば最もなことだが、とつい呆れる。

    それより何より。
    聞こえた言葉がただの冗談じゃないなら。

    「…………ボク、と、だって?」
    「うん。……エルジュ自身が、結婚したいと思ってくれてるなら、だけど。」
    「ッしたいよ!子どもの頃から、ずっと、そう思ってたんだ!」
    「……嬉しい。私も。」

    そう言ってくれるのが天にも昇るほど嬉しい。
    一方で、二人の間を隔たるものは何一つ消えてはいない。
    エルジュの曇りかけた表情に気がついたのか、盟友が苦笑する。

    「ただし、通い婚で、エルジュが許せるなら、ね。」
    「……通い婚?って……」

    随分と昔のレンダーシア大陸貴族や王族では、当然のように行われていた方法だ。
    本来は男が女の元へ足を運ぶことを指す。
    なぜなら、当時は女性が家の外へ出ることはよく思われていなかったから。
    現代はもちろん、エルジュの暮らす時代ですら既に男女平等になって久しいので、本の中でしか読んだことがなく、すっかり忘れていた。

    そうか、と、盟友の考えていることがわかると、思わず頬も綻ぶ。
    エルジュは今回の一件が全て終われば自分の時代へ帰るけれど、盟友がどうやら過去へと会いに来てくれるらしい。
    エルジュだって可能なら会いに行きたいが、盟友の持つ膨大な時渡りの力には到底敵わないので甘えることにした。

    「許すも何も、君は冒険者なんだから、四六時中いつでも会えるなんて思ってないよ。……同じ時代に君がいる、それだけで、十分幸せだ。」
    「ああ……それもそうだね。エルジュが、グレンにいてくれた方が安心かな。」

    この人と人生を共にすることを夢みたことは、一度や二度なわけがない。
    どんな仕事で、どんな住まいで、どんな生活で、どんな風に笑い合えるか、何度だって考えた。
    拠点を決めずに方々を渡り歩くこの人は、多分、呼ばれればどこへでも行くんだろうと知っている。
    ああ、そうか。

    「なんだ……呼べば、よかったのか。」
    「うん?」

    不思議そうな顔で首を傾げる盟友を見て、唐突に気づいた事実に、エルジュはハハと苦い笑いを溢した。
    押し殺さなくたって、自分の気持ちを正直に告げれば、良くも悪くもいつだって正直に答えてくれたんだ。
    そうして、どんな状況だろうとお互いに一番いい形で絆を繋げ続けられるように、エルジュばかりでなく盟友だって、努力してくれたんだろう。
    そう思うと、現代に来てからの時間を無駄に過ごしてしまったなと少し残念に思った。

    ああ、そうだ、と盟友がパッとベッドから降りて立ち上がる。
    ベッドサイドのチェストの一段目の引き出しを開けて、一つの薄い冊子を取り出してパラパラとめくっている。
    手を止めたページにはずらりと表が並んでいて、指で追いながら何かを確認していった。

    「それは?」
    「ん、レンドア港の出航時刻表。……あー、だめだ。もう全部出ちゃってるな。」

    肩越しに冊子を覗き込んでみると、行き先別で見開きにまとめられ、曜日ごとに出航予定時刻が整然と書かれていた。
    他の国の宿屋に備え付けられているのは見たことがないので、港町ならではのアイテムだな、と小さく微笑む。
    それはそれとして、と、今見ているページの行き先を確認して、つい頬が熱くなる。

    ブルーマリッジ島。
    青い海に囲まれた、大きな教会の立つ、恋人たちのための島だ。
    絶海の孤島で結婚式を挙げたら幸せな人生を約束されると噂され。
    島に据えられた大きな鐘は二人で鳴らせば幸福を呼ぶ。

    この六月は人気のあるシーズンで、出航予定も通年で見れば多い方だが、流石に昼まであと二時間ない今は往路は尽きていて、残りは午後の復路のみ。

    「……行くつもりか?」
    「善は急げって言うじゃん?式はともかく、行くだけでも意味があることでしょ。」

    善なんだ、とエルジュは声をあげて笑った。
    目の前にある自分よりも小さな肩を抱き寄せて、顎下に迫る髪に頬を乗せる。

    どれほど、願ったことか。
    どんなに、この人を腕に抱くことに焦がれたか。

    「青い船ならいつでも出せるよ。」

    現代に来た時点で、ある程度の航海路は把握済みだ。

    エルジュの一言に驚いた盟友がこちらを向いた隙に、わずかに屈んでそっと口付ける。
    一度目は遠慮がちに、それから、二度目は食んだ。
    ゆっくりと身体を離し、場所を確認するだけに留めていた薄目で、改めて腕の中の人を見つめたら、潤む瞳が熱を宿して恥ずかしげに細められた。

    「あ、の……明日でも、いい?」

    そう、小さく言って、震える指でエルジュの白いシャツを握り締めるものだから。
    また、しばらくはエルジュから外れそうにない盟友の右手に右手を絡めて、片眉を下げて笑った。

    口より何より、全身で訴えかけてくるのは昨夜から変わりない。
    離れがたいのだ、と。
    きっと、そういうこと。



     
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