バーテンダーとおにぎりと、「シゴトの時間だ」
「…谷ケ崎さん、前振りって知ってます?いえ、確かに陣頭指揮頼んだのは僕ですが…」
「すぐ要件に入ったほうが効率いいだろうが。続き、早く」
「私も同意見ですねぇ、仲良しこよしで雑談する意味もないでしょう」
普段の薄汚れたアジトとは違い、薄暗くも雰囲気のいい間接照明や調度品、そしてバーカウンターが設置されている地下の屋内へ4人は集まっていた。バーとして普段営業しているそこは、今にも来客があってもおかしくないほど整然と整えられていた。それもそのはず、つい先ほど来客として迎えられたのは我が物顔で居座る4人の方だったからだ。
素知らぬ顔で訪れた4人は、店を一人で切り盛りしている店主をあっという間に捕縛し、バックヤードへ押し込んだ。しかしながら今回のターゲットはこの店主ではなく、これから訪れる予約客であった。
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