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    cona570

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    「死体あさり」と聞いてふと思い出した、勢いだけで書き始めて放ったらかしになってた書きかけグレセフィ。
    推敲も何もしてないのでほんとに殴り書きって感じ。

    ##7
    ##グレセフィ

    地獄の火炎 ラディオルの残党を討滅し終わった頃にはもう日が傾きかけていた。雨も降りはじめた。班員の顔にはかすかな疲労が見て取れる。深追いは禁物。退却し、休息をとり、態勢を整えて続きは明日にすべきだ。
     セフィロス自身、肉体的には少しの疲れも感じていなかったが、心が迷って進めそうにない。
     グレンたちが用意したキャンプはもう遠い。いましがた空にしたばかりのラディオル人の根城を使おう。セフィロスが提案すると、グレンが苦い顔をした。異論があるのかと態度で問う。
    「そこらじゅうに死体が転がってたら、寝覚めが悪すぎるだろ」
     なぜ? セフィロスには分からなかった。襲われる心配がないのは良いことではないのか。しかし無理強いする気もない。
    「そうだけどよ……マット、手伝え」
     そういうとグレンは大股に数歩進み、セフィロスが斬ったばかりの死体に近づいた。声をかけられた方のマットもまた、何を言うでもなく同じ方向へ進む。視線だけで合図を交わしながら二人がかりで遺体をそっと持ち上げると、森の入り口へと運んで行った。
    「私たちは先に行こう。おいで、手当してあげる」
     ルティアがセフィロスの背を軽く押す。断る間もなく、ルティアは先を歩きはじめた。セフィロスは無言でついて行く。
     遺跡に戻ると、濃い血の匂いがした。それでセフィロスもようやくグレンの言い分が理解できた。たしかに気分の良いものではない。十分な換気さえできれば平気だろうが――。
     セフィロスが空気の流れを探っているうちに、グレンとマットが帰ってきた。そしてまた血溜まりのなかにある遺体を、今度は一人一体ずつ、出口付近の一室へと引きずっていった。
    「丁重に弔うなんてのは無理でも、最低限の礼儀ってものがあるから。まして寝床を借りようってんだからね」
     ずるりずるりと伸びる血の跡を眺めているセフィロスに、ルティアがやさしい声で語りかける。自分の知らない答えを与えようとしてくれているのだ、とセフィロスにはわかった。セフィロスの無知に対して叱責でも嘲笑でも、まして拒絶でもなく、やさしさをくれるのだ、この人たちは。
     セフィロスとルティアは広間のような部屋に出た。大きなテーブルと、椅子が何脚か。狭い窓もある。万一のために自然とどちらからともなく窓辺に位置取った。ルティアが近くにあった椅子を引き寄せて差し出すので、セフィロスは素直にそこに座る。ルティアはセフィロスの前で身を屈めた。
    「傷を見せて」
     本当はマットのほうが治癒魔法は得意なんだけど、と呟きながらルティアがケアルを唱える。魔法ならばセフィロス自身がこの場の誰よりも得意だ。おそらく生きている人間の中では世界でいちばん。
     それをあえて表明して先輩兵士の厚意を断る理由もないので、セフィロスはおとなしくされるがままに待つ。
     負傷したわき腹に治癒魔法が沁みわたる。それがどういうわけか、ほんのり温かい。
    「あたたかい……」
    「私の手、体温高いんだ。鍛えてるから」
     ルティアの魔法が特別なわけではなかった。単に温かい手のひらがほんのわずかな隙間をあけて肌を覆っているからだった。
    「あんたはずいぶん冷たいね。雨で冷えた?」
     ルティアの温かい手が、怪我をしていない方の肩をさする。
    「いえ。もともとです。体質というか……」
     急に己の体温の低さが恥ずかしいことのように思われて、セフィロスは歯切れ悪く言い淀んだ。心臓は人よりゆっくり動き、息も上がらず、熱も持たない。だから疲れない。いつまでもいつまでも戦っていられる。アクティブ型ソルジャーの特徴。
    「そうか。それにしても――着替えなきゃね」
     ルティアは顔を上げ、窓の方を見やった。セフィロスの視線もそれを追う。雨は激しさを増し、白いカーテンのように窓の外を覆っている。
    「あれ? うわ、すごい」
     ルティアがやや低い声で驚く。雨のことかと思えば、緑色の目はセフィロスの腹を凝視していた。
    「これも体質?」
    「そう、です」
     傷がもう塞がっていた。ルティアの指が痕も消えたそこを撫でる。戦士らしくざらついた指。でも温かく、手つきはやさしい。
     ずるずる、ざりり。どっ、ぺちょ、ばさっ。開け放した扉の向こうから聞こえてくる音が急に耳に刺さる。薄れたはずの血の匂いが鼻を突く。セフィロスが斬ったのだろうか、それともグレンたちが倒したのだろうか。
     開け放たれた扉の向こうの暗がりをじっと凝視していると、その奥からぬっとグレンが現れた。続いてマットも。
    「だいたい片付いたぜ」
    「おつかれ」
    「貯蔵庫があって助かった。ついでにほら」
     マットが干した魚とチーズのようなものを掲げて見せた。セフィロスのポーチにはまだ十分な補給食があるが、彼らの分はとっくに尽きている。死体の片付けと引き換えに食料を得た、これが「礼儀」の対価だろうか?
    「おい」
     セフィロスが声のした方を見上げると、いつの間にか眼の前にグレンが立っていた。
    「傷の具合は?」
     問いかけつつもグレンは返事を待たない。服が破れたところからセフィロスの肌に直に触れてくる。ちょっと、とルティアの制止の声。べつに平気だとふたりの間に割って入ろうとしたが声が出なかった。触れたところをじっと見つめるグレンの眉根がわずかに寄るのが見えたからだ。いかに高度な治癒魔法を使おうと、この短時間で肉までえぐれた傷が跡形もなく消えることは普通ありえない。普通の概念にセフィロスは当てはまらない。
     青鈍色の目がすっと細くなった。魔晄の影響を受けていない、生のままのまなざし。
    「怖かったろ」
     グレンの大きな手がセフィロスの頭を覆った。グレンも体温が高いのだろうか。髪越しに伝わる熱のせいか、こめかみや頬まで熱くなる。
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