巡る星のその後に 1「よっ、と」
止まったエレベーターから螺旋を描くようにゆったりと上へ飛んでいくマンタに乗り換え、タイミングを計って飛び降りる。
書庫最上階、三影くんに連れられてキャンドル集めとともに光の子を回収していた。祈りの台座付近にいる光の子に触れ、いつものように翼の欠片に変化したものを自身のコアに収める。おそらくこれで各エリアに散らばったすべての欠片を回収できただろう。
(そろそろあそこに行く頃合いか……)
星の子として生まれ落ちた以上果たさなければならない使命とはいえ、あの痛みや喪失感はあまり味わいたくないし、既に数えきれないほど経験しているが慣れるようなものではない。空から絶え間なく降り続ける赤い石の光景を思い出して手が震えた。
「真白さん」
呼びかけられてはっと隣を見ると心配そうな顔が覗きこんでいた。
しまった、そういえば手を繋いだままだったことに気づき、そっと手を離そうとすれば、きゅっとまた握られる。案外目敏い彼には気づかれてしまったのだろう。
「大丈夫ですか?顔色が……」
するりと伸びてきた手が頬を撫でる。少し目にかかる前髪の隙間から覗く淡い紫色に見透かされそうでどきりとする。
「ん?俺は平気だよ。でもそうだな、たくさん飛び回ったから疲れたね。今日は手を引いてくれてありがとう」
なんでもないように笑みを取り繕って、そろそろホームに戻ろうかと提案する。何か言いたげな様子だったが、そうですねと頷いた三影くんを尻目に書庫を後にした。