九尾の日和と人の子ジュンにげなきゃ。
むずかしい事はわからないけれど、生きるために逃げなきゃいけない事は分かった。オレはこのまま死んじゃうんだ。いやだ。生きたい。まだ生きていたい。オレは・・・あいされたい
春の麗らかなある日、男の子が失踪した。
その男の子は両親曰く少し目を話した隙に居なくなってしまったようだ。メディアでは連日男の子の顔と名前が報道されているが、未だ有益な情報はなく、少しずつ世間の関心も薄れつつある。
男の子の名前は漣ジュン。年齢は4歳。あと数ヶ月で5歳の誕生日だった。連日手がかりとして放送されるファミリー動画の中に手指で4がうまく作れず諦めたのか、歳を聞かれると手を広げて「ごしゃい」と答える愛らしい姿が映されている、深い紺色の髪ときらきら輝く金色の瞳が印象的な子どもだった。
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