無題思えば物心ついた頃から彼らはそこに居た。
気がつけば隣にいたり、頭の上に乗っていたり。特に何かしてくるというわけではなくただ近くに寄ってきて寛いで気ままに過ごす。
一部の個体と視線を合わせれば長ったるいお喋りに発展してしまうこともあったが、人の身ではまず経験することがないであろう大変興味深い話ではあったし、そういう個体は大概周囲の人間より余程話の分かる相手だった。本人曰く、長生きしすぎて退屈だから話し相手が欲しかったらしい。それもそうだろう、寿命があってないようなものなのだから。
そんなこんなで、今ではすっかり馴染み深く感じてしまった訳なのだが。
問題は彼ら……所謂、「妖怪」と呼ばれる者達は、私以外の普通の人間には視えていないということだった。
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